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ロッテ創業の経緯と経営体制

 今年8月、ロッテホールディングス(重光武雄代表取締役会長)の臨時株主総会 が、東京・帝国ホテルで開かれ、重光昭夫副会長(重光武雄氏の次男)による現経営体制を支持する議案が決議された。

 在日コリアン一世の重光武雄氏(辛格浩;シン・ギョクホ)は、戦後まもなく、 進駐軍のチューイングガムからヒントを得て、東京・新宿でロッテ(ゲーテの著 書『若きウェルテルの悩み』のヒロイン「シャルロッテ」から取ったという)を 創業した。

 「お口の恋人、ロッテ」は名キャッチフレーズである。ロッテはガムや菓子で 大成功をおさめた。

 さらに、ロッテは日本のプロ野球にも進出し、ロッテ球団を 創設した。現在の千葉ロッテマリーンズである。

 また、韓国プロ野球でもロッ テ・ジャイアンツを所有している。重光武雄氏には、日本人妻(二人目)との間に、長男の宏之氏(辛東主:シ ン・ドンジュ)と次男の昭夫氏(辛東彬;シン・ドンビン)の2人の子供がいる。 2人とも日本で育ち、共に青山学院大学(長男は理工学部、次男は経済学部)を 卒業している。

 そのため、必ずしも韓国語は得意ではない。一族は韓国語ではなく、日本語を使用しているという。ちなみに、長男の宏之氏は、韓国マスコミの インタビューに日本語で答えている。

 重光武雄氏は、日本での成功を引っ提げて、祖国、韓国へ進出した。ロッテホ テルやロッテワールドなどを設立し、韓国の十大財閥の仲間入りを果たしている (現在は第5位)。

 他の韓国財閥同様、ロッテも様々な業種の多角化を試みた。 兄、宏之氏が日本ロッテを、弟の昭夫氏が韓国ロッテ氏をそれぞれテリトリー とし、兄弟で”すみわけ”をしていたが、昭夫氏が韓国でその才能を遺憾無く発揮 し、同国で不動の地位を確立する。

 そして、今では韓国ロッテの売上は約5兆円 と、日本ロッテの約20倍となっている。 2007年、ロッテは、持ち株会社ロッテホールディングスを立ち上げ、韓国ロッ テと日本のロッテを統括し、重光武雄氏は会長に、兄の宏之は副社長に就任した。

不買運動にまで発展したロッテのお家騒動

  2013年頃から宏之氏がロッテの中核企業、ロッテ製菓の株を買い増しを行って きたが、父である武雄氏はそれが不満だった。そこで、今年1月、昭夫氏は、ロ ッテHDの役員会で宏之氏を解任する。  

 ところが、半年後の7月27日、今度は武雄氏と宏之氏が組んで、突如、東京・ 新宿のロッテ本社に乗り込み、取締役会を開き、昭夫氏の解任を発表した。一種 の“クーデター”である。

 実は、昭夫氏の韓国ロッテは中国国内5店舗を展開する百貨店事業で、2011~ 14年の間に約1兆ウォン(約1000億円)の損失を計上した。昭夫氏がそれを報告 していない事が、武雄氏の逆鱗に触れたという。

 韓国ロッテは、2008年に北京の 王府井に銀泰百貨有限公司との合弁で中国進出1号店となる「ロッテインタイム デパート<楽天銀泰百貨>」をオープンした。けれども、赤字続きで2、3年前に は撤退する憂き目にあっている。

 結局、昭夫氏は法的な手続きを踏んでいないとして、最終的に株主総会で雌雄 を決することになった。去る8月17日、臨時株主総会が開かれ、6割以上の株主は、 昭夫氏を支持したのである。

 また、武雄氏は代表権のない会長職に留まった。昭 夫氏は兄弟間の争いに関して、韓国語で謝罪し、表面的には兄弟間では決着がつ いた。

 では、なぜロッテでこのようなゴタゴタが起きたのか。それは、韓国財閥(好例はサムスン)にありがちな”御家騒動”である。

 韓国財閥は、多くの場合、創業者の意向やその家族で会社の方針が決まり、一 族が会社全体を支配する構造となりやすい。したがって、会社の継承を兄弟姉妹 で争うことになる。そのため、いわゆる創業者の2世・3世による「王子の反乱」 が起きやすい。

 ところで、ロッテは韓国財閥の一角をなす。そのファミリーが在日コリアンで あったことは、一部の韓国人は衝撃を受けたに違いない。

 朝鮮半島に住む韓国人 から見れば、在日コリアンは、“日本に染まった”分、一段低く見られる。だから、韓国では、ロッテは韓国企業か、それとも日本企業かというアイデンティテ ィ問題で論争になった。

 世界がグローバル化している今日、この議論は有益とは 思えない。 実際、ロッテHDは日本法人であるが、昭夫氏はロッテは韓国企業と明言した。

 それにもかかわらず、韓国では、”ロッテ不買運動”が起きる事態にまで発展して いる。

 

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