政治・経済

 携帯電話の電波が心臓のペースメーカーなどに影響を及ぼす恐れがあるとの懸念に、総務省が初めて「ノー」と指摘する方針を固めた。

 電車内の優先席付近では「携帯電話は切ってくれ。ペースメーカーを入れているんだ」といったトラブルをよく見かけるが、これは携帯電話が発する電磁波がペースメーカーの誤動作を引き起こす可能性があると思われてきたから。一昔前の携帯電話に比べて微弱な電波を使用する最近のスマートフォンなどでは影響はほとんどないとされながらも、ラッシュアワー時に車内で身動きの取れない首都圏では「15センチ以上離す」という基準が長年順守されてきた。

 総務省が今回、ペースメーカーや人工心臓を動かす装置など医療機器の影響を調査した結果、3センチまで近づくと誤動作したことがあるとし、これまで同様「15センチ以上」の基準は維持するものの、「影響が発生するとは限らない」などと誤動作の恐れは非常に低いとの考えを初めて盛り込む見通しだ。

 誤動作が発生した調査は、携帯の電波を断続的に最大出力で医療機器の感度も最大にした際のケースで、現実的には起こり得ないとの指摘も専門家からは指摘されており、総務省も踏み込んだ表現に転じることにした。

 電車内の携帯電話については、最近も車内の言い争いの後、男性が相手の若い女性を階段から突き落とす傷害事件が起きるなどトラブルの元凶になっている。ただ、ペースメーカー利用者の団体も「患者の過度の心配は無用」と啓発活動を行っており、総務省の説明を前向きに受け止めている。

 指針案策定に携わってきた専門家の一人が「携帯の電話が実際に日常生活でペースメーカーなどに影響を及ぼした報告はない」というように、より踏み込んだ指針を求める向きもある。

 しかし、一部には「誤動作が起きてからでは遅い」と危惧する声も根強く、「15センチ以上」を完全に削除するわけにはいかないようだ。

 

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