マネジメント

経営の極意① 分かち合うのがかっこいいお金持ち

 アダム・グラントのベストセラー『GIVE&TAKE』(三笠書房)の人間類型、ギバー(人に惜しみなく与える人)、テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)、マッチャ—(損得のバランスを考える人)を下敷きに、私はお金との関係で人間を4つのタイプに分けた。

①かっこいいお金持ち(ギバー)

②かっこ悪いお金持ち(テイカー)

③幸せな貧乏人(マッチャー)

④不幸せな貧乏人(テイカー&テイカー)

 以上の4タイプだ。

 かっこいいお金持ち(ギバー)とはどのような人かというと、基本、与える人である。自分の持つ資源を人に与えて、その人の価値や社会の価値を上げてくれる人。あるいは、人を勝たせてくれる人といってもいい。私の知っているお金持ちでは、アースホールディングス國分利治氏や三光ソフランホールディングス高橋誠一氏、あるいは通信機器販売会社ネクシィーズ(東証1部・大証1部上場)の創業社長、近藤太香巳氏など。かっこいいお金持ちとしての考え方を、端的に表していると思うのは、近藤氏の次のような発言だ。

 「リーダーとは、自分が50万円稼いでも、部下2人に20万円ずつ渡し、自分は10万円で生活する人だ」

 自分の作った資源、価値で、他人の価値を上げてやる、分かち合うということをしないと、リーダーとしての尊敬を得られないというのだ。

経営の極意② 自分の選んだ道だから人のせいにはしない

 近藤氏は18歳の時、自動車免許を取り、マイカーを購入。と思う間もなく納車の翌日、事故に遭い車を大破。200万円超の借金をつくった。

 返済のために、100人入社して99人が辞めるという訪問販売員になるが、ここで踏ん張って成果を出し、借金を返したという。何があっても自分の選んだ道であるから、と決して人のせいにはしないのが信条なのだ。

 三光ソフランの高橋氏は、大学を出て電機メーカーに就職するという間際に、説得されて実家の米屋を継ぐ。

 米屋の販売方法を顧客中心に画期的に変えて成功。翌年から多店舗展開に乗り出す。10年の間に43店舗まで拡大して安定収益事業にした。

 その後、不動産業界に進出し、個人年金づくりにアパートを建て、「お金持ち大家さん」になることを推奨している。

 関係する18社すべてが黒字。うち2社が上場企業となっている。今後は総合介護事業を目指すという。

 高橋氏の名言に「50歳までに土台をつくって、50歳過ぎて財産をつくればいい」というのがある。悠々たる気概が感じられる言葉ではないか。

経営の極意③ 自分中心ではなく視線は他人に向いている

 美容院のフランチャイズシステムをつくったアースホールディングスの國分氏は本欄でもしばしば登場している。フランチャイジーを100社にすることが目標で、現在は60社。FC社長の平均年収は3千万円以上。1億円以上が2人いるという。

 社長になっても、2期連続で赤字を出したら降格になる。赤字は他人を不幸にするから、と國分社長は言う。社長からスタイリストになる人もあるというから徹底している。

 さて、こうした考えの面々が「かっこいいお金持ち=ギバー」である。決して自分中心ではなく、視線は他人に向けられている。こうした志向の人が成功するのは、むしろ当然といっていい。

 この反面の「かっこ悪いお金持ち=テイカー」にも触れておこう。これは、「自分の利益だけを追求する人」である。

 例えば人を騙すような人だ。一時は騙しが成功してお金を手にするが永続はせず、最後は没落することになる。

 

[今号の流儀]
「他人のため」を考えられるかが「かっこいい・悪い」を分ける。

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る