政治・経済

 2016年度の税制改正要望が8月末に出揃った。金融庁の要望は、少額投資非課税制度(NISA)の口座開設手続きの簡素化や金融所得課税の一体化など、今回も家計の資産形成や貯蓄から投資への流れを後押しする要望が相次いだ。15年度改正でNISAの大幅拡充を実施した〝裏年〟でもあり、要望段階から小粒感が目立った。

 金融庁の16年度の主な要望項目は7つ。中でも、政府の成長戦略に絡んだ要望として注目されたのがNISAの拡充だ。だが、蓋をあけてみれば、NISA口座の開設手続きを社会保障の共通番号(マイナンバー)のみでできるようにするという使い勝手の向上にとどまった。

 NISAは1人1口座に限られるため、口座を開設する際は重複して口座を保有していないかの確認で、住民票の写しを金融機関に提出しなければならない。マイナンバー制度が始まる16年1月からはさらにマイナンバーも提出書類に加わる。

今回の要望は、申請の手続きが煩雑で利用者にとって不便であるため、住民票の写しの提出を不要にし、マイナンバーのみでできるようにする内容だ。口座開設の手続きを簡素化する。

 投資家が取引しやすい環境整備の観点では、先物やオプションなどのデリバティブ取引で生じた損益を、上場株や公社債の損益と通算して課税する金融所得課税の一体化を要望。政府は証券取引所と商品取引所を統合し、海外投資家にとって日本を魅力ある投資先にする総合取引所構想を推進、金融商品の所得課税の一体化の実現は、この構想の鍵となりそうだ。

 また、日本国内で発行するイスラム債の配当への非課税措置の恒久化も要望した。現在の制度は12年4月に始まり、16年3月末が期限。中東からの投資マネーを国内市場に常時取り込める環境を整える。

 今回の要望について「前回と比べると、めぼしいものがあまりない」と金融業界関係者はつぶやく。前回の15年度税制改正では、16年からのNISAの非課税枠の120万円への増額や20歳未満の子や孫の名義で口座を開設できる「ジュニアNISA」(非課税枠は年80万円)の創設を要望し、満額回答を得ているからだ。

 今回もNISAについて5年と定められている非課税期間を恒久化してほしいという意見が業界からは挙がったが、金融庁は「制度が始まってまだ2年で、非課税期間の期限もまだ先なので今すぐ要望しないでも間に合う」(幹部)として見送った。NISAの次なる目玉となる恒久化は、17年度以降にあらためて要求する予定だという。

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