政治・経済

 北陸新幹線の金沢―福井間の開業前倒しに向けた議論が本格化してきた。この問題を議論してきた与党の検討委員会が先月、開業を2年前倒し2020年度とする案について「可能性はある」とする報告書をまとめたのだ。今後は政府・与党の作業部会で専門家による検証作業を進めるが、国土交通省には慎重論も根強く、先行きは見えない。

 今年3月に開業した北陸新幹線は、早くもその先である金沢―敦賀(福井県)間が22年度に延伸開業する予定となっている。さらに、敦賀までの延伸区間のうち、金沢―福井間について2年前倒しで先行開業させ、東京五輪に間に合わせようという案が地元経済界などを中心に巻き起こっている。これを受け、政府・与党は福井までの先行開業について「夏までに結論を得る」とし、検討委が3月以降に計14回の会合を開き、技術的課題などについて議論していた。

 8月28日に取りまとめられた報告書によると、検討委は先行開業について、課題だった九頭竜川橋などの土木工事の短縮案を提示。「2年の工期短縮は可能」と明記した。さらに、福井駅で折り返すための留置線の設置などの追加費用(最大160億円)に関しては「金沢―敦賀間の総工費1兆1600億円の数%の水準にすぎない」とし、コスト削減によって賄うべきだと結論付けた。

 一方、検討委の取りまとめを受けた国交省は従来のスタンスを微妙に変化。「開業への期待を踏まえ、敦賀までのさらなる前倒し開業の検討も含め、早期開業に最大限努力する」との方針を示した上、検討に必要な調査費を来年度予算案の概算要求に盛り込むことを決めた。

 この国交省の「軟化」を与党も歓迎。検討委の親会議である与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの座長を務め、福井1区選出でもある稲田朋美・自民党政調会長は「北陸新幹線のさらなる早期開業とともに、関西・中京圏との円滑な流動性を確保する上でも大きな前進だ」とコメントした。

 だが、国交省の〝親分〟である太田昭宏国交相も黙ってはいない。同氏は与党案取りまとめから4日後の9月1日の記者会見で、福井先行開業案について「工期や設備に関する課題は説明している。技術的に困難との認識は変わらない」と強調。さらに「金沢―敦賀の早期開業に向けたさらなる前倒しの検討に努めたい。努力するのは敦賀までのことだ」と福井だけを特別視しない考え方を強調した。

 微妙な食い違いを見せる政府と与党のスタンス。福井延伸問題は年末の予算編成での政治決着に持ち込まれる公算が大きくなっている。

 

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