政治・経済

 白壁なまこ壁の土蔵をはじめ、格子窓の町屋が連なり、日本全国はもとより海外からの観光客も多数訪れる倉敷市の美観地区。中国地方でも中核都市として、水島コンビナートをはじめ産業都市としても活気ある倉敷市の商工会議所会頭として、井上峰一氏は、2013年就任以来、倉敷市の街づくりと活性化に精力的に取り組んでいる。穏やかな表情の中にも、時折みせる強い目力と周囲の人を引き込む独特の雰囲気は、生来のリーダーとして歩んできたことを感じさせる強さと温かさを兼ね備えている。

 「大学では、初代の応援団長を務め、随分やりたいことをしていたように思います」

 そんな井上氏の転機は禅との出会いだった。関西高校から、花園大学に進学し、全学応援団を立ち上げ、初代団長になった。

 当時の初代学長は山田無文老大師、後に臨済宗妙心寺派第33代管長で全日本仏教会会長も務められた河野太通老大師もおられた。その出会いは、自らの生き様を決定づける大きな宝となる。企業経営や人材育成の基本となる考え方をも導いてくれた。

井上峰一氏の信念 人に地域に社会に自らを捨てて邁進

(いのうえ・みねひと)1949年生まれ、岡山県倉敷市出身。倉敷市をはじめ岡山県全域に葬祭ホールを展開するいのうえグループの代表、さらに2012年より関西学園の理事長も務める。倉敷商工会議所副会頭を経て、13年11月に会頭に就任。倉敷市のみならず、近隣の都市と連携しながら岡山県のさらなる活性化にも積極的に取り組む。禅宗で得度を得る。法名は玄晧。

(いのうえ・みねひと)1949年生まれ、岡山県倉敷市出身。倉敷市をはじめ岡山県全域に葬祭ホールを展開するいのうえグループの代表、さらに2012年より関西学園の理事長も務める。倉敷商工会議所副会頭を経て、13年11月に会頭に就任。倉敷市のみならず、近隣の都市と連携しながら岡山県のさらなる活性化にも積極的に取り組む。禅宗で得度を得る。法名は玄晧。

 「『大死一番、大活現前』という禅語があります。死んだつもりになって、今持っているものをすべて捨て去ることで、真に生きるという意味です。社会に役立つ人となるためには、自分に執着せず、目先のことに固執せず、どう生きるか。そうしたことも含め、禅によって自分自身を鍛えてもらいました。

 また、事を進めるときには、『不二一如』の価値観を指針としています。身心一如、自他一如、人境一如の3つの価値観は、心と体の調和、相互依存の社会観、そして生命共同体としての自然観を示しています。倉敷商工会議所会頭としても、その価値観が揺らぐことはありません」

 井上氏が目指しているのは、倉敷市をヒューマンサイズの街にしようというもの。倉敷駅から徒歩20分圏内で、病院も文化施設もショッピングセンターもあり、人に優しく便利さを備えた回遊性の高い活気溢れる街だ。

 「観光と産業、さらに医療福祉面においても倉敷市は魅力と大きな強さを備えた街です。人口の減少とともに超高齢化が進んでいるのは日本全体の課題ですが、倉敷市のみならず、岡山県全域にとっても、大きな課題です。近隣の3町7市と連携を図り、お互いに活性化する街を作ろうと7市の商工会議所会頭との連絡協議会も立ち上げました。良い街づくりのために、今後も力を注いでいきたい」。井上氏の言葉が力強く響いた。

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