政治・経済

星野リゾートにとって都市観光市場が無視できない規模に

 星野佳路・星野リゾート代表は定例プレス発表会において、中長期的に都市観光市場へ積極的にアプローチしていく方針を示した。
 現在、星野リゾートでは、温泉保養客向けの「界」、ラグジュアリー向けの「星のや」、ファミリー向けの「リゾナーレ」の3つのブランドを展開している。将来的には第4のカテゴリーとして都市観光客向けビジネスモデルの確立を目指す。

 星野代表の都市観光の問題意識のスタートは、2005年に長野県の浅間温泉の旅館再生を請け負った時のこと。浅間温泉の温泉旅館の集客は落ちていたが、近隣の松本市内をはじめ地域全体の観光需要は落ちていなかった。
 実際には松本市内に増えてきたビジネスホテルに集客が流れていたという。周遊観光や都市観光の客にとって、1泊2食が基本の温泉旅館のサービスや料金体系が合わなくなってきていた。
 星野リゾートとしては当時このマーケットを追うべきではないと判断し、温泉保養客に特化。それが現在の「界」のビジネスモデルとなっている。

都市観光市場が星野リゾートの成長を支える

 しかし一度は諦めた都市観光市場だったが、そのボリュームの大きさは無視できない状況になっており、数年前から調査を開始。その結果分かったのは、ビジネスホテルと言われているブランドのホテルの宿泊客の大半が観光客であること。その一方でビジネスホテルのサービスが都市観光客の需要に合っていない現状がある。
 「ビジネスホテルの名前に騙されていたが、ここはわれわれが行かなくてはいけない市場」(星野代表)という結論に至った。

 とはいえ、都市部は良い不動産物件が出ることが少なく、土地も高い。日本の中核都市に拠点を設けることは時間を要するため、星野代表としても、10~15年後を見据えて着実にステップを踏んでいく構えだ。
 7月末にANAクラウンプラザホテル4施設の取得を発表したが、これも中長期戦略の一環だという。今回取得したのは、金沢、富山、広島、福岡の4都市のホテルだが、この4都市に限らず、いろいろな都市でチャンスがあると見ている。

 星野代表はかねてより、日本の観光にとって、最近急増するインバウンド以上に旅行需要の9割を占める国内市場の維持が大切だと語っている。その意味でも、首都圏から日本の地方都市に向かう都市観光客の獲得の重要度は高く、都市観光市場の開拓は星野リゾートの今後の成長を下支えすることになる。

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