政治・経済

企業への監督・検査から支援・育成に方針転換した金融庁

 金融庁の方針転換が波紋を呼んでいる。同庁は9月18日に初となる「金融行政方針」を公表したが、金融機関の監督、検査の対応策が中心だった従来内容から一転、企業の支援・育成、地方創生などを促すための金融機関の指導や、金融とITの融合の促進など戦略的効果を追求する行政指針に刷新したからだ。

 「具体的にこれからどんなことを言われるのだろうか」とある金融機関の社員は、金融庁の“変節”への不安を口にする。

 金融庁は毎年9月頃に事業年度ごとの監督、検査の基本方針「金融モニタリング基本方針」を公表してきた。

 だが、今年から国際金融など含めた幅広い金融行政のテーマを盛り込んだ金融行政方針に衣替えし、監督、検査姿勢に重きを置いた姿勢からの転換と受け止められている。

 「金融庁の顔色ばかりうかがっている金融機関の姿勢はおかしい」と金融庁幹部は話す。

 根底にある問題意識は、金融機関が金融庁の指針に対応することばかりに傾注するあまり、顧客視点で事業展開していないことにある。監督・検査中心の行政方針を見直すことで、金融機関を顧客のために行動するよう意識改革させる狙いがある。

金融庁の「口出しすぎ」は逆効果も

 象徴的なのが、地域金融機関の借り手である中小企業約1千社を対象にした聞き取り調査だ。金融庁は地銀が地方経済の中核を担う企業の事業の中身を重視した融資や経営支援を通じ、地方創生に貢献することが収益の安定につながると指摘する。

 だが「相変わらず担保に依存している」(幹部)との意見が根強い。地銀の言い分だけでなく、中小企業に地銀の融資姿勢などを直接聞き、地銀の取り組みが不十分な場合は改善を促す。

 さらに、新たな施策では地銀の金融仲介機能を客観的に評価できる指標の導入も検討し、地銀同士を比較できるようにして収益力改善を促す。また、外部の有識者を交えたあるべき姿を検討する会議も年内に立ち上げることも予定する。

 一方、海外で事業を拡大している3メガ銀行などには、市場が大きく揺れ動いた際にも金融仲介機能を十分発揮できるように、自己資本の積み増しを求める。リスク対応を経営指針や資本政策に反映しているかも検証する。また、ITと金融が融合した新たなサービス「フィンテック」についても普及に向けた環境整備などを検証する方針だ。

 金融庁の転換は、これまで揶揄されてきた金融処分庁から脱却し、金融面から経済成長を支える金融育成庁を探る動きともとれる。とはいえ、口出しが過ぎれば金融機関の将来の行動は大きな制約を受け過ぎるリスクもあるだけに、さじ加減が肝要になりそうだ。

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