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忙しい時のほうが、諸事万端うまくいく――五島昇×升田幸三

温故知新

「沿線開発」の歴史は鉄道会社の歴史でもある。東急電鉄も田園調布を開発した渋沢栄一翁の田園都市株式会社を始まりとする。戦後、東急グループを躍進させたのが五島昇氏。升田幸三名人とのプロフェッショナル談義で時間と集中力について語っている。 (1979年9月11日号)

忙しい時は暇がないから集中力を発揮する

升田 五島社長は、相変わらずお忙しいようですが、男は忙しくなくちゃいけませんな。暇があり過ぎると行き詰ります。

五島 忙しいときのほうが諸事万端うまくいく。ゴルフなんかも暇な奴のほうが腕は上がるかというと、決してそうじゃないね。キリキリ舞いしながら、時間を盗むっていうか、つくりだしてやる者のほうが上達は早い。仕事だって同じだな。

升田 結局、忙しい人間は時間がないものだから瞬間的に集中力を燃焼させるってことでしょう。暇な奴は、余計なことをあれこれ考えるばかりで、火の付きが遅い。

五島 やり繰り算段して、ひとつ、ふたつ不義理しながら時間をつくって遊びに行くっていうのは楽しいもんだ(笑)。

升田 中国の言葉に「走馬観花」というのがあるらしい。走る馬に乗って花を見る。これが本当の花見。それが人生だ、という意味らしいね。人間、年をとるにしたがって、あれもしとかなきゃ、これも片をつけとかなければという具合に、だんだんと忙しゅうなる。もたもたしとられへん。

五島 それは言えるね。仕事のやり方でも、40代の頃はひとつのことを深く突っ込んでいくが、横を見ないわね。ところがこの頃は、あれもこれも一度にやる。

升田 全体がよう見えているからです。大局がつかめとるわけだ。これは経営者としていちばん大切なことです。将棋だって小局にこだわり過ぎていると、えらいことになってしまう。

五島 深くやらなければならないことや時期もあるだろうけど。

升田 社長のような立場になるとひとつのことに長く首を突っ込んでいるわけにはいかん。全体のバランスを考えながら、パッ、パッと決断していく。

五島 一度にいろんなことをやっているほうが、気持ちに張りもあるし、判断力もしっかりしているような感じだね。

升田 だから、プロなんです。上に立つ者は勘所を押さえていればうまくまわる。つまらんことまで口出ししていると、わけが分からんようになる。

五島 おっしゃるとおりで、何もかもはできませんよ。みんなで力を合わせて目標に向かっていくわけです。

升田 それにしても、五島さんは、海外にもどんどん出掛けられて、体がいくつあっても足りんでしょう。

五島 しょっちゅう外国に行っていますね。そこで感じることだけど、発展途上の国や街っていうのはいいもんだね。

升田 完成されたところいうのは手の加えようがないみたいで、夢がないですから。

五島 そうそう、伸び盛りの街には何ともいえない匂いがあるんだ、活気がある。成熟したところにも、もちろん良さはあるけれども、これからどんどん良くなっていく可能性があるところ、独特の雰囲気、熱気が僕は好きだな。

升田 国内でも田舎に行くとそういう感じがする街はありますね。曲がりくねった細い道を通りながら、ここからあの辺まで立派な道路をつけたら便利になるだろうなんて考えるだけで楽しゅうなったりして……。国や会社も同じでしょう。もちろん個人もですがね。

五島 日本の経済界はまだ若いもんね。高度成長でここまできたわけだけど、これからは安定成長していかなければならないわけだし、そうなってこそホンモノだと思う。

 

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