文化・ライフ

生後間もないわが子を病気で失うという経験を通じ、そこから得たさまざまな想いを綴った『My Happiness Rule』を上梓した田中美帆さん。田中さんの愛娘、悠(はるか)ちゃんは生まれながらに心臓疾患があり、生後約6カ月でこの世を去った。その間も田中さんはトークイベントやセミナーなどで活躍し、後にブログで公表した際には、本人も驚くほどの大きな反響があった。壮絶な経験をしながらも、前向きに生きるためのメッセージを込めたという田中さんに、執筆への想いを聞いた。

 

田中美帆さんが著書に込めた想い

 

(たなか・みほ) 1983年生まれ。フジテレビ「あいのり」のテレビ出演をきっかけに、タレントとして活動。サロン主催やアロマのイベント事業を経て、2013年、関西を中心に女性の活躍をサポートするコミュニティ「関西美活サークル」を立ち上げる。講演、主催イベントなどの活動情報や、美容、ファッションなど日常を綴ったブログ「SWEET MIE」は1日最高65万PVを誇り、アメブロ公式トップブロガーに認定されている。

(たなか・みほ)
1983年生まれ。フジテレビ「あいのり」のテレビ出演をきっかけに、タレントとして活動。サロン主催やアロマのイベント事業を経て、2013年、関西を中心に女性の活躍をサポートするコミュニティ「関西美活サークル」を立ち上げる。講演、主催イベントなどの活動情報や、美容、ファッションなど日常を綴ったブログ「SWEET MIE」は1日最高65万PVを誇り、アメブロ公式トップブロガーに認定されている。

―― はるちゃんのことを書籍として出版することに関しては、どのような思いがあったのですか。

田中 最初、ブログにはるちゃんのことを書くのは凄く怖かったんです。でも、妊娠した時から自分事のように喜んでくださり応援してくださっていた読者さんに、きちんと自分のコトバで伝えたいと思い書きました。ブログに書いてからは同じような境遇の方から沢山のメッセージを頂きました。そこには「ありがとう」という言葉がたくさんありました。本を書くことで同じように病気で苦しんでいる方を元気づけられたり、力になれたりすることもあるのかなと思って書籍化を決めました。

―― そういう心境になるには、時間が掛かりましたか?

田中 ブログに書くまでは、人に言うことではないという気持ちの方も強くありました。子供が病気で亡くなったことをブログで読むことで、いろんな思いを抱く人がいるでしょう。辛い気持ちにさせてしまうかもしれません。でも、同じような境遇にいる方や、そうでない方からもいろんなメッセージを頂いて、考えが変わりました。

―― 人生においてかなり重い経験をされたと思いますが、そういうことが自分に起きてしまったことをどう捉えていますか。

田中 最初は「なぜ私だけが……」という気持ちがありましたが、その気持ちははるちゃんと真正面から向き合うことで消えていきました。私はブログを10年やってきて、人前に立つ仕事もしていて、発信する機会が多い環境だと思うんですけど、そこにはるちゃんがやって来て。この経験をしたことが偶然とは思えませんでした。これは、「みんなに伝えて」という、はるちゃんのメッセージなんじゃないかと。

last_R

入院中には、田中さんが泊まり込みで看病する日々が続いた。「はるとの入院生活は大変でしたが、離れて様子がわからなかった時よりもストレスが減りましたし、一緒にいられる時間が嬉しかった」と語る。

―― 『My Happiness Rule』というタイトルには、赤ちゃんの闘病記というだけでなく、前向きなメッセージが込められていると思うんですが、本を通じて表現したかったことは何ですか。

田中 赤ちゃんが亡くなったという事実だけをみると暗い話のように思われるかもしれませんが、物事は捉え方次第で前向きに未来につなげていけるんじゃないか、私たち家族はそう思って病気に向き合ってきたので、そのあたりをお伝えできたらいいなと思いました。

―― 経験を通じて学んだことは。

田中 とにかく、はるちゃん自身が一生懸命生きていたんです。自分はすごく幸運だと思って今まで生きてきて、はるちゃんを妊娠した時も当たり前に元気な子を産めると思っていて、病気が分かった後も、私の子だから絶対に奇跡を起こせると思っていたんです。でも、はるちゃんが亡くなった時に、その根拠のない自信が全部覆されて、どうにもならない現実というものを初めて経験しました。それで一回考え直して、はるちゃんが一生懸命生きていた姿を思い出して、自分自身の生き方を考えるようになりました。自分が貰った命に対して、当たり前のように生きていたらはるちゃんに失礼だなと。そうして自分と向き合った時に、いろんな思いが湧いてきました。

―― ご主人をはじめ、周りの方のサポートのありがたさも感じられたと思います。

田中 時間の大切さもそうですし、家族の大切さなど、当たり前のように思っていたことすべてが、当たり前ではなかったということを感じました。好きな人と結婚できたことだけでもありがたいことですし、一日一日を大切にして「今を生きなきゃ」と強く思うようになりました。

 

セミナーやイベントで生き方への提案を発信

 

『My Happiness Rule』(田中美帆・著/経済界) 本体1,200円+税

『My Happiness Rule』(田中美帆・著/経済界) 本体1,200円+税 書影クリックで購入サイトへ飛びます。

―― 田中さんは女性の活躍を支援するコミュニティ「関西美活サークル」の活動をされていますが、この経験が仕事で役立つような場面はありますか。

田中 出産を経験したことで、ママさんの気持ちが分かったということはとても大きいです。病気のお子さんがいるママさんの気持ちも分かるようになりました。この経験をすることでいろんな人の気持ちが分かるようになったと思います。ママさんはこういう場所がなくて悩んでいるのかなとか、イベントの企画の中にも今までとは違う視点が出てきたので、もっと取り入れていけたらと思います。

―― 本業では今後どんなことに取り組んでいきたいですか。

田中 今は、はるの弟のゆうせいが生まれて、正直ずっと一緒にいたい気持ちが強いのですが、自分たちらしい家族のライフスタイルをブログなどで伝えていけたらと思っています。セミナーやトークイベントでは、「こうすればいい」みたいなことを言うのは苦手なので、「こういう生き方もありますよ」というのを発信することで、何か刺激にしていただけたらいいなというスタンスでやっていきます。あとは、関西美活サークルを通じて、ママさん向けの企画も取り入れたいです。そして、同じような境遇の方の力になれることがあればしていきたいと思っています。

 

田中美帆オフィシャルブログ
「SWEET MIE」
My Happiness Rule特設サイト
http://mihotanaka.me/book/

 

 

【文化・ライフ】の記事一覧はこちら

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る