政治・経済

前半では鈴木宗男氏に出馬前の人生を振り返り、また北海道への思いとヴィジョンを熱く語っていただいた。それはもちろん興味深いのだが、実は宗男氏は現在、国会議員ではない身の上である。せっかくの親子対談ということもあり、後半ではまず、貴子議員に共闘者であり、大先輩でもある父親から教わった「政治家として大切なこと」が何なのかを尋ねてみた。

娘に感じた政治家としてのセンス

(すずき・たかこ)1986年北海道帯広市生まれ。カナダ・トレント大学卒業後NHK入局。長野放送局でディレクターを務める。2012年新党大地公認で衆議院選挙初出馬・落選。13年繰り上げ当選。14年民主党公認で衆院選当選(2期)。現在現職国会議員で最年少(29歳)。民主党所属と同時に新党大地代表代理を務める。

(すずき・たかこ)1986年北海道帯広市生まれ。カナダ・トレント大学卒業後NHK入局。長野放送局でディレクターを務める。2012年新党大地公認で衆議院選挙初出馬・落選。13年繰り上げ当選。14年民主党公認で衆院選当選(2期)。現在現職国会議員で最年少(29歳)。民主党所属と同時に新党大地代表代理を務める。

德川 政治家としての人付き合いの極意を、貴子議員に伝授されているのでしょうか。

宗男 いろいろな話はしますが、特別ああしろ、こうしろとは言いません。やっぱり私の後ろ姿を見ているから、どう付き合うか、自分の立ち位置をどこに置いておくかというのは、私から見れば勘が良いし、きちんと判断している気はしますね。

貴子 鈴木宗男って多分、世の中の皆さん、周囲の国会議員の皆さんもそうですけれども、逐次「ああしろ、こうしろ」みたいなことを、悪く言えば口うるさく、良く言えば懇切丁寧に教えているというイメージがあります。でも、けっこう放任主義ですね。それはいかがなものかと思いますけど(笑)。人間・鈴木宗男の歩みみたいなものは、もちろん見て来ました。後ろ姿しか見る機会がなかったというか。父は普段、家の外にいて、小さい時はテレビで見るほうが多かったので。

 政治家として、例えば国会、永田町において、あるいは役人を前にして、どう物事をさばいていくか、という姿は、一度も見たことがないんですよ。ムネオイズムを鈴木イズムに変えるために、もう少し何かあったほうが良いんじゃないかと思うんですが、それを1度言った時に、鈴木宗男の口から出て来たのは、「そんなことも分からないのであれば、それはお前にセンスがない。それが分からないようであれば、有権者が判断してお前はいなくなるから、悩む必要もない」と。なかなか……ひどい話ですよね(一同、笑う)。

德川 宗男代表は、本当は手を取り、足を取りして、教えたいのが本音じゃないでしょうか。

宗男 本音というかね。持って生まれたセンスというのは、あるんですよ。鈴木貴子が政治家に向いていなかったら、誰も声を掛けてきません。「貴子、出るべし」というのは、全く血のつながりのない第三者の声でしたから。次男坊の行二も向いていますけれど、「俺よりも貴子のほうが向いている」と言って、それで貴子に決まりました。私が新党大地を立ち上げた時に、娘が19歳で応援演説をして、そのインパクトが強いから、周囲の人は圧倒的に鈴木宗男のDNAはこっちのほうが強いという受け止め方をしたんですね。

政治家は上の者より下の者に気を遣え

(すずき・むねお)1948年北海道足寄町生まれ。拓殖大学在学中より中川一郎衆議院議員の秘書を務める。83年衆議院初当選。北海道開発庁・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、議院運営委員長、自民党副幹事長、総務局長を歴任。2002年自民党離党後、04年参院選出馬・落選。05年新党大地を結成、代表に就任。同年衆議院復帰(8期)。10年懲役刑確定により失職・収監を経て現在に至る。著書に『汚名〜検察に人生を奪われた男の告白』『政治の修羅場』など多数。

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德川 次に宗男代表に話を戻します。学生時代から中川一郎さんの秘書をされていたとのことですが、学生秘書というのは、どんな感じだったのでしょうか。

宗男 大学4年の前期で全部単位を取ったので、9月3日から学校に行かないで、びっしり議員会館の中川事務所に詰めておりました。ちょうどその年、1969年の12月に選挙がありましたから、中川先生にぴったり随行です。秘書になって初めて飛行機に乗れるのがうれしくてね。貧乏学生だったから、いつも学割の汽車で、しかも寝台を使わんで、普通の列車で。混んでいて青森―上野間立ちっぱなしなんていうこともありました。

德川 政治家としての秘訣は教わりましたか。

宗男 教わりました。人間関係を大事にせい、と。政治家で大成するかどうかは、人間関係が細いか太いかだ、と。それから、上にお世辞を言う必要はない、下に気を使え、とも教わりました。自分より年上の人は黙っていてもいなくなるのが自然の法則だが、下の者は伸びてくる。その下の連中をいかに使うか、いかにして彼らの支持を受けるかが大切なんだ、ということです。役所の局長にジョニー・ウォーカーを1本持って行くよりも、一課員に焼酎を1本持って行けと。もらい慣れしている局長は「またか」ですんでしまうけれど、下の連中は感激して忘れないし、役所にいる時間が長いんだと。私はこの教えを守ってきました。今もその教えは生きています。よく鈴木宗男は恫喝したとか腕づくで予算を取ってきたとか言われますが、役所とは信頼関係、人間関係がしっかりしているんです。中川先生の教えを守ってきてよかったと思っています。

德川家広氏(政治評論家)

德川家広氏(政治評論家)

德川 前回、石原慎太郎元都知事の回でも話題に出た議員集団の青嵐会には、中川一郎さんも参加していました。青嵐会は何を目指していたのでしょうか。

宗男 やっぱり自主憲法の制定と、日本国家の真の自立でしたね。あとは日本人の信義と節度、失ってはいけない日本人としての立ち位置、心を守らなくてはいけない。青嵐会を作ったのは73年でしたが、当時は右翼だと言われましたね。しかし、その後の日本の政治の流れを見ると、青嵐会の精神は生きているなという気がします。ただあの時、血判を捺したのが誤解のもとですね。この血判を言い出したのは石原慎太郎先生だったんですよ。なぜかというと、参議院議員になって参議院の改革をしようとしたら、みんな賛成したけれども、いざとなったら逃げてしまった。あの時、自民党を割って、河野謙三さんを担いで参議院議長にしたのが石原先生でしたね。石原先生には、本当に政治家はだらしない、約束を守らない。だから血判でもって団結を保つんだ、という思いがあったのでしょう。

 青嵐会には藤尾正行という、いつもふんぞり返っているタカ派の政治家がいて、この藤尾先生がびびっちゃったんです。安全剃刀で指を切るのに、藤尾先生が「血が出ない、俺には血がないのか」と言っていたら、中川先生が「藤尾、お前、指を切っていないんじゃないか?」と言ってばっさり切ったら血がどくどくと出て、藤尾先生は気を失ってしまいました(笑)。考えてみると真剣に魂を持って、日本という国を考えた集まりだったという感じです。

「鈴木宗男の娘」という部分は使わせてもらう

20150421_SUZUKI_P01德川 ロシア外交といえば宗男代表ですが、ロシアの現状については、どう見ていますか。

宗男 プーチンさんについてはいろいろ言われていますが、彼は人情家です。4回ほど会いましたが、気の優しい人だと思います。KGB出身だから冷酷だろうというのは、本人を知らない人の言うことです。

德川 ウクライナ問題でも、原油価格の下落でもロシアは苦しんでいます。これは日ロ関係にとっては良いことでしょうか。

宗男 ロシアというのは世界一のエネルギー資源大国です。ソ連崩壊直後のロシアの経済は、今の10倍悪かったけど、自立してやっていました。人的レベルが高いんです。油の値段が上がらない要因はさまざまですが、ロシアはびくともしないと考えています。外貨準備が莫大ですから、2、3年は心配することはないと思います。一方、ヨーロッパは農産物等の輸出規制をしましたが、それによってロシアの農家が潤っているんです。たくさん物を作れますし、値段が上がっていますから。こうした視点が足りないですよね。ロシアが大変なのは事実ですが、致命傷になるとは思わないです。

德川 相手が弱っているのにつけ込んで北方領土を取り返す、などというのは好ましくない?

宗男 それは、国益にはかないません。

德川 最後に、貴子議員は、政治家としてムネオイズムを継承されようとしているのか。鈴木貴子カラーはどこで、いつくらいに出していくつもりですか。

貴子 おのずと出るのがベストですよね。無理に、いつまでにとか、そういう時間軸というのは、正直、考えていません。ただ、私は確実に鈴木宗男がもう1度、果たしたい目的のためにタスキを掛ける日がくるだろうと思っています。そうなった時には、今とは関係が変わると思いますし。まあ、似ていますからね、私たち(一同、爆笑)。例えば自衛隊の式典で演説をすると、自衛官の人に「お父さんが政務次官で来られた時の演説も聞いているけれども、話の持って行き方が、やっぱりそっくりですね」と言われたり(笑)。私はそれを最大限、使おうと思っています。既に似ている部分でもそうですし、鈴木宗男の娘という肩書も使いますし、鈴木宗男が持っている経験、人脈、ありとあらゆるものは使う。それが政治家としてのプラスというか、地元の人に還元できるのなら私は大いに使います。だから鈴木宗男代表、もっと頑張ってください。生涯現役ですから、という思いです。

文=德川家広 写真=幸田 森

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