国際

南シナ海をめぐる中国の動きに警戒感強める日本

  最近、南シナ海をめぐり、日米中の間で激しいつばぜり合いが展開されている。

 今の習近平政権は「韜光養晦」(能ある鷹は爪を隠す)政策を捨て、「積極有所作為」(積極的にできることをする)政策へと転換した。そして、東シナ海を含め)南シナ海への“膨張政策”を採っている。中国共産党は南シナ海を「核心的利益」と位置付け、海域全体を「九段線」で結び、すべて自国“領海”だと主張し始めた。

 習近平政権は「偉大なる中華民族の復興」を旗印に掲げている。そのため、見方によっては「中国的世界秩序」(歴代中国王朝を中心とする安定した東アジアの国際関係。「朝貢体制」・「冊封体制」が特徴)の復活ともとらえられよう。

 経済的に、習政権は「一帯一路」(海と陸の「新シルクロード構想」で終点は英国)によって、外需の拡大に努めている。南シナ海はその“生命線”と言える。

  さて、2012年12月、第2次安倍晋三内閣が誕生した。同時に、安倍総理は、「セキュリティダイアモンド」構想を発表している。

 同構想は、日本・米国ハワイ・オーストラリア・インドというアジアの民主主義国を結ぶ。中国による南シナ海での“膨張”を阻止するための、いわば「中国包囲網」である。安倍首相は同海域が「北京の湖」になるのではないかと危惧している。日本と中東とを結ぶシーレーンが脅かされるからに違いない。

 2015年11月5日、菅義偉官房長官は、(今年9月の「安全保障関連法案」成立を受け)南シナ海での海上自衛隊の活動について、将来、警戒監視活動などに参加する可能性を示唆した。

 これに対し、同13日、中国外交部の洪磊報道局長は、「日本には南沙諸島の主権問題であれこれと言う権利はない」と菅発言を批判している。北京政府は、海上自衛隊が南シナ海で警戒監視活動を行うことに釘を刺したと見られる。

米国も南シナ海での中国による人工島埋め立てに危機感

 周知のように、中国は西沙諸島(パラセル諸島)でベトナムと、南沙諸島(スプラトリー諸島)でフィリピンと領有権を争っている。

 けれども、ベトナムもフィリピンも海軍力が貧弱である。そこで、今年11月3日、安倍政権は、ベトナムに巡視船転用中古船2隻を引き渡し、中国を牽制した。

 ところで、米国防総省は南シナ海における中国の人工島埋め立て(軍事基地化)に危機感を抱いていた。今年5月頃、国防総省はオバマ大統領に「航行の自由」作戦を進言している。だが、同大統領は、ペンタゴンの進言を受け入れなかった。

 同9月下旬、習近平国家主席が訪米した際、オバマ大統領は習主席に対し南シナ海での人工島造成中止を要請した。だが、習主席は全く聞く耳を持たなかったという。そのため、同大統領は激怒した。まもなく、オバマ大統領は米軍に「航行の自由」作戦遂行を指令している。

 翌月(日本時間)10月27日、中国共産党18期5中全会開催の最中、米軍のイージス駆逐艦「ラッセン」(横須賀港が拠点)は、中国が主権を主張する南沙諸島の人工島から12カイリ(約22キロ)以内の海域に進入した。

 米軍は“慎重”にもスビ礁(満潮時、水面下となる“暗礁”)を選択している。国際法では、平和目的ならば暗礁に人工島を構築しても構わないとしているからだろう。だが、軍事目的の場合、明らかな国際海洋法違反である。

 この米軍の行動に対し、中国軍の艦艇2隻はイージス艦を追尾した。だが、実際は、中国軍は単に遠くから見守るだけだったと伝えられている。

  さらに、11月12日、米国防総省は、中国が領有権を主張する人工島に近い空域で、8日夜から9日にかけて、(わざわざ旧型の)B-52戦略爆撃機2機を飛行させた、と発表した。ステルス性の高いB2(スピリット)では、中国軍が飛行したことをレーダーで捕捉できない可能性もあったからだろう。

 米軍機は中国側の管制官から警告を受けたが、任務を敢行したという。同2機はグアム米軍基地から飛び立ち、「通常任務」を終えて帰還した。中国軍が米軍機に対し、スクランブルをかけた形跡がない。米軍の“挑発”に対し、中国軍は沈黙せざるを得なかったのだろうか。

  今年11月15日・16日にはG20首脳会議がトルコ・アンタルヤで開催され、また、同19日・20日、APEC首脳会議がフィリピン・マニラで開催される。その際、安倍首相が南シナ海での問題を取り上げる構えを見せている。

 他方、中国側は、APEC議長国であるフィリピンにその議題を避けるよう要請したという。

 

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