政治・経済

子育て世帯の親世代同居を促すも具体策は見えず

 安倍晋三首相が掲げる「新3本の矢」のうち、第2の矢となる子育て支援策にからみ、国土交通省が子育て世帯と親世帯との近居・同居を促す政策について、急ピッチで検討を進めている。

 内閣改造時に石井啓一国交相が首相指示を受けたことがきっかけで、10月下旬には有識者会議での議論も始まった。

 政府の子育て支援策は、国民が希望する出生率である「希望出生率」を2025年に1・8とするのが目標。ただ厚生労働省の調査では、経済的理由に加え、女性の社会進出を背景に、30歳未満の女性の約2割が「仕事などに差し支える」として、自分の希望する子ども数を持たないという背景がある。

 こうした中、持ち上がったのが親世代との近居や同居の促進で、世代間の助け合いで子育て負担の緩和を目指している。

 内閣府の調査でも、希望する子ども数を実現する必要要素として、3割を超える女性が「父母や義父母の協力」を挙げ、政府が6月にまとめた女性活躍推進本部の提言でも「多世帯の同居・近居を促すための措置を早急に検討すべき」と明記されている。

 国交省は今年度改定される住生活基本計画に、政策方針を盛り込みたい考え。10月26日に開かれた社会資本整備審議会住宅宅地分科会では、空き家対策や住宅セーフティネットなどのテーマと並んで議論が始まった。

 ただ、政策の具体化は簡単ではない。

 現制度では、都市再生機構のUR賃貸住宅で、子育て世帯と親世帯が約半径2キロメートル圏内に住む場合、家賃を5年間、5%分割り引くなどの支援策があるが、単なる支援拡充は機構の経営に影響が出る可能性がある。 

 同居向け改修に掛かったローン残高の一部を税額控除する案も浮上しているが、住宅ローン減税と併用できないなどの制限がある。

 住宅宅地分科会の会合で委員の1人が、「政府がどうしたいのかイメージがわかない」と国交省にハッパをかける一幕もみられた。

 年度末に向け、議論の行方が注目される。

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