文化・ライフ

市本徹雄氏が語る 「カラヤンも絶賛の美しい響き」

市本徹雄氏

市本徹雄氏

 2016年、サントリーホールは30周年を迎える。「世界一美しい響き」を目指すことをコンセプトにつくられたホールは、初代館長である佐治敬三氏自ら海を渡って参考になるホールを視察するなど徹底的にこだわって誕生した。

 佐治氏と親交のあった世界的マエストロのヘルベルト・フォン・カラヤン氏もその思いに共鳴、サントリーホールの特徴でもあるヴィンヤード(ぶどう畑)形式を勧めたという。そのやりとりをサントリーホールの総支配人で、ホールのオープン当時には佐治氏の秘書を務めていた市本徹雄氏に聞くと、「佐治社長(当時)が『どうしてヴィンヤード形式がいいんですか』と聞いたところ、『音楽はアーティストが一方的につくるのではなく、そこにいるお客さまも一緒になってつくるものだ。だから、このヴィンヤード形式がいいんだ』と仰ったそうです。そこで『ほな、そうしましょ』となったと、聞いています」と言う。そうしてこだわり抜いてつくられたホールは共鳴する楽器のようなもので、時の経過とともに音も良くなると言う音楽家もいるのだそうだ。フィンランドの指揮者、エサ=ペッカ・サロネン氏は、「この星の最高に素晴らしい楽器」とまで絶賛する。サントリーホールの開館は、音楽界に新たな幕を開けたが、音楽の楽しみ方といったソフトの部分でも日本のパイオニアとなった。今は、珍しくないがお客さまを迎えるレセプショニストもそのひとつ。

 また、かつては音楽を聴くことはお勉強のようなものだったそうで、お酒を楽しむ文化はなかった。しかし、サントリーらしくバーコーナーを設け、開演前や休憩中にお酒をたしなみ、音楽の周囲も楽しむ文化をつくりあげた。市本氏は、「サントリーはお酒をつくるだけでなく、お酒をおいしくいただくといった洋酒文化をつくってきました。コンサートホールでも、お客さまに徹底的に楽しんでもらおうと考えた結果」という。それが、今や日本に根付いたのだ。そのおもてなし精神はアーティストへも向けられる。カラヤン氏のアドバイスはここでも発揮され、バックステージの導線やマネジメントなど、最高の状態で演奏ができる工夫がなされている。

 サントリーホールが共鳴させるのは音だけではない、楽しむ心も響かせているのだ。

 

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