政治・経済

コンビニコーヒーの人気、ファストフード店の注力などでコーヒー競争が激しくなる中で、勢いを見せているのがコメダ珈琲だ。名古屋市に本社のあるコメダは2015年5月現在、全国39都道府県で632店のコメダ珈琲店を展開。売り上げは2015年2月期で479.7億円に達し、前年比13.8%の勢いで伸び、営業利益率は21.5%に達している。2016年2月期には過去最多の90店をオープンする予定で、来年には上場も予定。成長を支えているのは何だろうか。[提供:ZUU online]

価格競争から脱却する「コメダ珈琲」の戦略とは

(写真=ZUU online編集部)

(写真=ZUU online編集部)

 喫茶店市場は1982年の売り上げ1兆7396億円をピークに年々減少し、2011年には1兆182億円とほぼ半減となっている。しかも1990年代以降は市場のほとんどがセルフサービス型となり、激烈な過当競争の中で収益を減らす消耗戦に入っていたが、2013年以降からは売り上げが上昇に転じ始めた。その主因はコメダを中心とする「フルサービス型」喫茶店の台頭だ。

 「フルサービス型」喫茶店とは、広い店内でゆったりしたスペースのテ―ブルとソファーに店員が注文を取りに来たうえで、商品を提供するいわゆる「昭和のサービス」を行う喫茶店である。

 しかもコーヒ―1杯は430円と決して高くはない。もちろんセルフよりは高いのは当然だろう。コメダが注目したのは限界状況にあったセルフ型喫茶店の価格競争から脱却する戦略であった。

「コメダ珈琲」の「低コスト高収益の時間消費型フルサービス」とは

 コメダはターゲットを変えた。広い空間でゆったりと時間を消費することを来店目的とする高齢者をメインと考えたのである。今後人口が増加する高齢者を中心に主婦、ファミリーまでも含む、「時間消費を大切にする層」を新ターゲットとして、店舗のスペースコストを安く確保でき、ターゲット分布が多い郊外の住宅エリアで、広く商圏を取れるよう広い駐車場を備えた店舗とする立地戦略をとった。コメダの632店のうち、直営は10店のみであとはフランチャイズ店だ。

 また店舗には時間消費の支援ツールである新聞雑誌をふんだんに設置。店内を広くするため厨房はできるだけ狭くし、コーヒーの焙煎抽出は工場で一括処理、店内では加熱のみとした。

 ほかにも、客単価をあげるための食事メニューを100品目とできるだけ多くしたうえで、低コスト化のため使用食材は自家製のパンを中心に20品目に限定した。いわば使いまわしのメニューとしたのだ。こうした徹底したローコストマーケティングミックス戦略によって「低コスト高収益の時間消費型フルサービス」の喫茶事業を実現したのである。

「コメダ珈琲」の戦略の優れたところとは

 コメダ珈琲店の戦略の優れたところとは、セルフサービス型喫茶店が都市中心部の好立地店舗での省サービス・省スペース・高回転による収益確保を目指す「レッドオーシャン」戦略により自ら衰退を招いているのに対し、ブルーオーシャン戦略とも言うべき逆転発想の戦略コンセプトをしたことだ。

 それはまず最も大きい高コスト要素である都心立地のコストを減少するために郊外立地としたこと。連動してターゲット戦略、商品戦略を見直し、コア商品を「時間消費」商品としたこと。こうした見直しに完全に連動するマーケティングミックス戦略を取って、徹底した低コスト化を図ったことである。

「コメダ珈琲」の気になる追随者「星乃珈琲」

 この戦略も星乃珈琲という追随者が都市部での展開を図る形で急浮上してきたため、コメダも安閑とはできない。

 今後コメダはさらに画期的な戦略構想を考え、イノベーターとして道を切り開き続けられるのだろうか。(ZUU online 編集部)

zuu_logo_header190x60

 

 

 

【関連記事】
Apple Watch発売、シャープ赤字、Netflix上陸……上半期10大ビジネスニュース
11月4日上場へ!日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の上場を徹底解剖
日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
日経新聞/日経MJから、四季報まで全てネットで閲覧可?その意外な方法とは
証券業界に革命?「独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)」に注目が集まる理由

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る