政治・経済

大塚家具内紛――公開親子ゲンカが問題提起したガバナンスの重要性

 一企業の内紛がワイドショーの格好のネタにまでなってしまった大塚家具。時代遅れの経営観を引きずる父親と、現代的な経営を模索する娘との対立は、株主総会で一応の決着を見た。だが、新体制の下でも業績面の厳しさは変わらず。大塚久美子社長の手腕の見せ所はここからと言えよう。

 大塚家具の創業者であり、会長だった大塚勝久氏とその娘である久美子氏の対立の経緯については、本誌を含め、数多くのメディアで取り上げられてきたため、あらためて説明するまでもないだろう。今年3月末に開かれた株主総会では、久美子社長の退陣などを求める勝久氏側の提案は大差で否決。その後も、大塚家具の株式を保有する資産管理会社を巡り、父娘の対立は法廷まで持ち込まれたが、同社の事業運営そのものはひとまず平常に戻っている。

 だが、ここに来て、勝久氏が新会社を設立し、資金調達のために大塚家具の発行済み株式の4・9%にあたる95万株を売却するという気になる動きも出ている。いよいよ大塚家具と決別する準備と見る向きもある一方、将来的に新会社が大塚家具を飲みこむことを画策しているのではないかとの見方もある。

 久美子社長は、総会後の「おわびセール」や、父と娘の関係をテーマに、自らの経験を皮肉ったようなテレビCMを展開。イメージ刷新と売り上げ回復にある程度の効果はあったようだが、2015年1~9月期の単独決算では7100万円の赤字を計上した。話題性で引っ張れる時期は既に終わり、いよいよ経営者としての手腕が真に問われることになりそうだ。

 株主総会での勝利は、あくまで勝久氏に反発する株主からの票が集まった結果であり、久美子社長が確かな信頼を得るにはこれからが正念場。今後は、会員制をベースにした従来の高級家具路線と決別し、中価格帯の製品を中心とした戦略へとシフトしていく。

 そもそもこの騒動は、勝久氏の上場企業というものに対する誤解、私物化が通用するという勘違いが生んだものとも言える。同じような土壌の会社は、わが国にはまだ数多くあると思われる。ガバナンスが企業にとっていかに重要か、再認識させられる出来事だった

スズキの後継者問題が決着――依然残る修会長の影響力

鈴木修・スズキ会長

鈴木修・スズキ会長

 スズキ最大の懸案事項だった鈴木修氏の後継者問題にひとまず区切りがついた。同氏は今年6月で社長を退任。代表権のある会長職には留まったが、社長のポストは長男の鈴木俊宏氏に譲った。

 修氏は「アルト」「ワゴンR」などをヒットさせ、日本に軽自動車を定着させたほか、いち早くインドに進出し、同国で盤石の地位を築いた。リーマンショックで他の自動車メーカーが大打撃を受ける中、市場の変調を素早く見抜いて、ダメージを最小限に抑えたのも修氏の先見性によるものだ。

 後継者と目していた人物が亡くなったり、いったん会長に退いた時期に当時の社長が健康問題で退任したりと、なかなか経営から身を引くタイミングがなかったが、85歳という自身の年齢と、景況などを総合的に判断して、退く決断をしたようだ。

 ただ、修氏の影響力は依然として残りそうだ。VWの排ガス不正問題では、問題が発覚する直前に、同社との提携解消に決着をつけたことで、修会長が再評価されている。コーポレート・ガバナンスの観点からは同社の統治体制に疑問も湧くが、「修カラー」は当面薄れそうもない。

ジャパネットたかたの社長交代――組織力強化で脱カリスマ経営

 通販番組でおなじみの髙田明・ジャパネットたかた社長が1月16日付で退任。後任を託されたのが髙田氏の長男の旭人氏である。カリスマ的な人気を誇った前社長のカラーが強い会社だけに、どう舵取りをしていくのか注目が集まった。旭人氏にこの点を訪ねると「基本的に軸となる部分を変えるつもりはありません。あくまでも主役は商品。厳選した商品を探してお届けすることに変わりはありません」との答えが返ってきた。社長就任直後の1~3月期には売り上げが落ち込むなど、やはり前社長の影響力の大きさを実感させられる状況となったが、通年の業績に関しては楽観的な見通しを立てている。

 この1年で取り組んできたのは、より組織的な経営への移行だ。今年から傘下に事業会社5社を置くホールディングス体制を敷き、よりスムーズな事業展開が行えるようにした。また、30代の若者らしく、旭人氏がトップとして最初に取り組んだのが休日の増加だという。

 「前社長は危機感を煽ってエネルギーにして頑張るタイプでしたが、私は自信を原動力にする形にしていきたい」と、若き社長は語る。

 
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