政治・経済

総合リユースで日本一を実現した“4つの強み”

(こばやし・やすし)1981年埼玉県生まれ。2003年東洋大学工学部(現理工学部)を卒業後、ベンチャー企業に入社。04年に起業し、06年東洋大の後輩とマーケットエンタープライズを設立、社長に就任。学生時代から「フリマ好き」で海外で商材の個人買い付けも。15年6月17日 マザーズ上場。

(こばやし・やすし)1981年埼玉県生まれ。2003年東洋大学工学部(現理工学部)を卒業後、ベンチャー企業に入社。04年に起業し、06年東洋大の後輩とマーケットエンタープライズを設立、社長に就任。学生時代から「フリマ好き」で海外で商材の個人買い付けも。15年6月17日 マザーズ上場。

 販売店を持たず、インターネットを通じて買い取り、販売を手掛ける。

 「強みは4つあると思います。ひとつは買い取り専門のバーティカルメディア群があり、26のジャンルで展開しています。月間約2万6千件の買い取り依頼件数をいただいており、書籍と自動車、住宅を除き、総合リユースとしては日本一です。2つ目は、一気通貫のオペレーションシステム。自社で買い取り依頼に対応するコンタクトセンターや、物流拠点のリユースセンターを東京、横浜、埼玉、名古屋、大阪、神戸、福岡の7カ所に設けています」と小林泰士社長は説明する。続けて「3つ目が、ITのシステムをすべて自社開発しており、26のサイトから寄せられる買い取り依頼に宅配・店頭・出張の3つの方法から選べるようになっていて、それを一元管理しています。また査定のための商品データベースを持っており、買い取りの基準などをすぐにお客さまに伝えることができます。さらに商品を多くの方に見ていただくため、自社のサイトはもちろん、多くのマーケットプレイスに同時に出品し、落札されたら在庫が連動して消し込まれる仕組みになっています。4つ目は、商品の安心感です。商品は新品の状態からコンディション別に7つに分けて表示。一定期間なら修理を保証、動作保証、買い戻し保証を組み合わせています」と言う。

 2006年に設立し、初年度から黒字を継続している。在庫回転率は前年度実績で12.8と高く、販売価格の平均単価は2万5千円と、一般リユースが2千~3千円なのに対し、非常に高い。

 「当社が取り扱う商品は多種多様で、特定のジャンルが多いということはありませんが、家電、楽器、ブランド品や、フィギュアや釣り具、カメラなどの趣味し好品といった高額品が多い。国内のEC市場規模は12.8兆円で、リユース市場は書籍と自動車、住宅を除き1・5兆円あり、これらは毎年8%以上伸びています。しかもリユース業界でシェアを5%持っているところがない。リユース市場で中古品売買をしたことがない人が6割に上ります。大きな需要が眠っており、ネット通販を通じてこうした取引未経験者の掘り起こしをしていきたい」

 今後、団塊世代が本格的な相続時期を迎え、新たな商品が市場に出てくることが想定されている。日本ブランドに対する外国人の需要も期待でき、既にマーケットエンタープライズの顧客の10~15%はこうした外国人需要とのことで、今後も高い市場の伸びが見込まれている。

リユースサイトReReはブランド戦略の一環

 小林氏は大学時代から起業の志を抱き、数多くのアルバイトを経験。ベンチャー企業へ就職し、ソリューション営業をするも起業への思いが募り、使い捨てカメラのフラッシュ用電池を使い切らないまま廃棄していることに着目し04年起業。その後、使い捨てカメラ市場の縮小が見えてきたこともあり、スーパーや住宅展示場の依頼を受けて、フリーマーケット(フリマ)の運営を請け負う事業も始めた。36都道府県で820回開催し、日本一フリマを開催した事業者となった。その過程で、高額品や大型商品などフリマには持ち込めない商材があることに気付く。多くの商品が家庭に退蔵されており、企業にも型番違いや不良在庫などが眠っていることを知った。これらをインターネットによって売買の仲介をしたら面白いのではないかと思い、現在の事業を立ち上げた。

 15年9月から新たなリユースサイト「ReRe(リリ)」の運営を始めた。仕入れ・販売を一括で行うサイトで、従来の販路と比べて独自のサービスを設定することが可能だ。

 「大切な人にリユース品はプレゼントできないという人は多いと思います。でも『ReRe』の名称で販売されている中古品ならば安心だという信頼感を生み出したい。品質保証も付いており、梱包材もプレゼント包装で配送します。リユース品をプレゼントしても恥ずかしくないようにするブランド戦略です」

 循環型社会の形成に向けて、まずは不要品を発生させないリユース活動が大事だと小林氏は力説する。個人や企業から、価値ある商品を一括してコンシェルジェのように買い取る「プライベートバイヤー」というサービスも構想中という。リユース市場のさらなる進化を模索する小林氏だ。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

リーマンショック後の2010年にスタートした柳前社長時代は大幅な合理化や新興国戦略を推進。経営改革に道をつけ、17年度は過去最高益を更新した。日髙新社長は、事業企画・経営企画や2輪事業の経験と豊富な海外経験を買われてバトンを受けた。売上高の約9割を海外が占めるヤマハ発動機のトップとして、改革路線を継続しつつ成…

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年11月号
[特集]
大丈夫? 御社の危機管理

  • ・サイバーセキュリティ後進国日本の個人情報流出事件簿
  • ・「リアル」「バーチャル」双方で企業を守るセコムとアルソック
  • ・南海トラフ地震、首都直下型地震は、今そこにある危機
  • ・「いつ来るか分からない」では済まされない──中小企業の事業継続計画
  • ・黒部市に本社機能の一部を移転したBCPともう一つの狙い(YKKグループ)
  • ・高まる危機管理広報の重要性 平時の対応がカギを握る

[Special Interview]

 大谷裕明(YKK社長)

 「企業の姿勢や行動が危機対策以上の備えになる」

[NEWS REPORT]

◆胆振東部地震で分かった観光立国ニッポンの課題

◆M&Aでさらなる成長を期すルネサスの勢いは本物か

◆トヨタは2割増、スズキは撤退 中国自動車市場の明暗

◆このままでは2月に資金ショート 崖っぷち大塚家具「再生のシナリオ」

[特集2]

 利益を伸ばす健康経営

ページ上部へ戻る