政治・経済

アイリッジの主力事業はO2Oソリューションの提供とアプリ開発

 

(おだ・けんたろう)1975年東京都生まれ。99年慶応義塾大学経済学部卒業後、NTTデータ、ボストン・コンサルティング・グループを経て、2008年アイリッジを創業し、代表取締役社長に就任。15年7月16日 マザーズ上場。

(おだ・けんたろう)1975年東京都生まれ。99年慶応義塾大学経済学部卒業後、NTTデータ、ボストン・コンサルティング・グループを経て、2008年アイリッジを創業し、代表取締役社長に就任。15年7月16日 マザーズ上場。

 スマートフォンをプラットフォームとして商業施設に顧客を集客・販促する「オンライン・ツー・オフライン(O2O)」が主力事業。ユーザーの位置情報連携サービスを展開する。オフラインからオンラインに購買活動が移った電子商取引(EC)の流れとは逆に、オンラインからオフラインに誘導するのがO2Oだ。

 O2Oにはこの数年、小売業界からの関心が高まり、アイリッジはこの分野の先駆けとなって大手企業を次々と顧客につけて成長した。

 「大きく2つの分野をやっていまして、ひとつは『popinfo(ポップインフォ)』というサービス名でO2Oソリューションを技術提供しています。もうひとつは、企業のスマートフォンアプリの開発を請け負い、そこにポップインフォを組み込んで提供するものです」と小田健太郎社長は言う。

 大型顧客第1号となったファーストリテイリングの「ジーユー」では、アプリをダウンロードしたスマホを振ると、抽選でジーンズが当たる“おみくじ”などを企画。通り沿いのショーウインドーにモデルたちが並び、ジーユー商品に一斉に着替える「生着替えイベント」で話題づくりもした。イベントに合わせて、開催店舗に近づいたアプリユーザーにイベントのお知らせのプッシュ通知を送って集客する。

 福岡ソフトバンクホークスが開催する「鷹の祭典」では、野球場でビールの売り子が近づいたことお知らせしてくれるサービスを作った。この他、三井不動産が展開する商業施設「ららぽーと」、三菱東京UFJ銀行、東急電鉄などがサービスを利用している。popinfoを組み込んだアプリ数は300以上、このアプリを持っているユーザー数は2500万を超えている。

 同社は創業時からモバイルを活用したマーケティングを手掛け、スマホ登場を潮目の変化ととらえ、一気に仕掛けたことが成功につながった。O2Oに使う公式アプリの企画・開発から、位置検知とプッシュ通知のサービスの提供、その情報を生かしたマーケティングまで一気通貫で提供する。

 例えば、店舗の周辺にユーザーが近づくと、イベント情報や時間限定セールの情報をプッシュ通知で送る。位置検知とプッシュ通知を組み合わせて集客する。ユーザーの位置はGPSや近距離無線通信技術「アイビーコン」で検知する。

 「私たちの強みは、どういう情報を、いつどこでどういう頻度で出したらお客さんが来店したくなるかといった、アプリを使ったプロモーション企画にも長けており、それを一緒に考えられるところです。まだスマホによるO2Oの取り組みができていない企業のお手伝いをするケースも多いです」

 小田氏は大学を卒業後、NTTデータに入社。ジョイントベンチャーで物流とITを使ったサプライチェーンマネジメントシステムの企画・販売を行った。5年後、ボストンコンサルティンググループに移り、モバイルインターネット業界を担当し、この業界の理解を深める。

 

アイリッジ社長の小田健太郎氏はIT企業とコンサルファームで修業

 

 「もともと祖父が製造業、父が建築関係の会社を経営していたので、経営者が一番身近な職業でした。しかし、いきなり起業できるようなアイデアはなかったので、当時、成長するといわれていたIT、中でもシステム構築分野大手のNTTデータなら、IT業界のことを広く学べると思いました。ボストン・コンサルティング・グループでは、顧客への分かりやすい提案方法や、プロジェクトを進める際の人・モノ・金への目配りなど、経営者として必要な能力を多く身に付けることができました」

 社名のリッジとは海嶺の意味で、大洋の底にある海底山脈で、マントルが地下深部から上がってくる場所のこと。

 その地球が生まれてくる場所のように、インターネットの世界で世の中に新しい価値を作っていきたいという願いを込めている。決済機能にも注力し、ITと金融を融合した「フィンテック」へも積極的に取り組む。スマホによる決済サービス「C-less(シーレス)」を開発、15年春から展開を開始した。O2O普及期に向けて、新しいものに意欲的に挑戦し続ける。

 「ユーザーの欲しい情報が、欲しいと思われる時間と場所で出てくる世界。快適な生活の支援をしていきたい」という小田氏だ。

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