政治・経済

天野豊美社長が今後注力するIoTソリューション

(あまの・とよみ)1949年東京都生まれ。75年青山学院大学経済学部卒業後、日本エヌ・シー・アール(現日本NCR)入社、96年常務。2001年しんきん情報システムセンター理事。04年Y&Uを設立し社長に就任。05年M&S(現PCIホールディングス)を設立し社長に就任。10年PCIアイオス取締役。12年PCIソリューションズを設立し社長に就任。14年Inspiration取締役。15年8月4日 マザーズ上場。

(あまの・とよみ)1949年東京都生まれ。75年青山学院大学経済学部卒業後、日本エヌ・シー・アール(現日本NCR)入社、96年常務。2001年しんきん情報システムセンター理事。04年Y&Uを設立し社長に就任。05年M&S(現PCIホールディングス)を設立し社長に就任。10年PCIアイオス取締役。12年PCIソリューションズを設立し社長に就任。14年Inspiration取締役。15年8月4日 マザーズ上場。

 システム開発や保守などを手掛けるPCIソリューションズ、カルチャースクール統合管理システムや再生可能エネルギー運用・保守支援サービスを行うPCIアイオス、自動車ディーラーサポートやシステム開発、コンテンツ制作、セミナー・研修などを行うInspirationの3つの事業会社を持つ純粋持ち株会社として、グループの戦略策定、経営資源の最適配分、事業子会社の経営監督を行う。ITソリューション・ビジネスをコア事業に掲げ、“積極的(Positively)に、変化(Change)と革新(Innovate)し続ける企業でありたい”を行動指針とする。

 「ホールディング制は、屋上屋を重ねることになるのでコストがかさみます。しかし、事業会社はそれぞれ文化も異なり、それを一緒にするより、それぞれの事業に専念してもらい、資金面を含め、対外的なことはすべて引き受けるほうがいいという判断です。IT業界は大手が受注した仕事を子会社、孫会社に請け負わす“ゼネコン構造”です。これを合従連衡にして変えていきたいという気持ちもあります」と言う天野豊美社長。

 自身も以前、日本NCRで技術職、営業職を経て、常務まで務めた。当時は気付かなかったこの構造問題を、独立後に体験。その後、請われて信用金庫業界のシステム構築のサポートを依頼される。外資系でシステムを売る立場と、逆に純国産でシステムを発注する立場の両方を経験した。2005年、M&S(現PCIホールディングス)を設立する。

 傘下のPCIソリューションズは、自動車や重機・建機などに組込むソフトウエアを受託開発する。120を超える企業との取引実績を持つ。自動車ではエンジン制御ユニットや車載ネットワークなど、動作の信頼性が求められる装置のソフトウエア開発に強い。自動車関連向けソフトウエア開発を含む「テクニカルソリューション事業」では、顧客のリピート率が90%以上と高い。デジタルカメラやスマートフォン、携帯電話基地局向けソフトウエアなども手掛ける。世界的な自動車生産の拡大を追い風に業績好調が続いており、15年9月期連結売上高は前期比13・7%増の78億5千万円、経常利益は24.9%増の5億4千万円となった。

 「自動車向けの組み込み系ソフトウエアは求められる技術水準が高い。今後注力するのが、あらゆるものをインターネットにつなげるIoT(インターネット・オブ・シングス)、IoE(インターネット・オブ・エブリシング)です。現在はIoT分野の売上高比率は7%前後ですが、将来は20%から30%を占める中核事業に育てたい」

PCIソリューションズの強みと団体力

 現在、PCIソリューションズがコンテンツプロバイダーであるアマネク・テレマティクスデザイン社と共同で進める通信と放送を融合したV-Lowマルチメディア放送は、16年春からの福岡・東京・大阪を皮切りに全国展開される。地域に特化したデジタル放送で、渋滞情報、音楽、クーポンなどの新しい放送番組だ。また、すれ違い情報交換アプリ「Ichigo-Ichie」は、試作段階ではあるが、情報伝達範囲を限定し、訪日外国人旅行者に焦点を当てた情報をタイムリーに提供するもの。太陽光など再生可能エネルギー発電施設における発電状況モニタリングのための遠隔監視システムの開発と、付随する再生可能エネルギー発電施設の運用・維持管理支援サービス(O&M)も提供している。

 「私たちの一番の強みは技術力と、これを支える人材。IT業界平均の離職率は10%前後といわれる中で、当社が4%程度と低いのは、純日本的ないい文化を持っているからです。例えば、誰かが病気になると、週末に上司が心配して見舞いに行くし、新入社員でちょっと弱い者がいたら、チームで支えてしっかり育てることをする。お節介と思われるかもしれませんが、個の力より団体の力を大事にしています。IT業界はどうしても残業が多くなる時があります。3カ月で120時間の残業までに抑えるようにしていますが、どうしてもきついなと思うときは、上司がクライアント先に出向いて、担当者の変更をお願いし、社員を守ることもしています。お金は大事ですが、それより大切なのは、夢と希望と安心。この会社にいればいつまでも安心で幸福だと思える会社にしたい」

 先進的なIT業界にあって、なんとも“浪花節”的な話が新鮮だった。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

リーマンショック後の2010年にスタートした柳前社長時代は大幅な合理化や新興国戦略を推進。経営改革に道をつけ、17年度は過去最高益を更新した。日髙新社長は、事業企画・経営企画や2輪事業の経験と豊富な海外経験を買われてバトンを受けた。売上高の約9割を海外が占めるヤマハ発動機のトップとして、改革路線を継続しつつ成…

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年11月号
[特集]
大丈夫? 御社の危機管理

  • ・サイバーセキュリティ後進国日本の個人情報流出事件簿
  • ・「リアル」「バーチャル」双方で企業を守るセコムとアルソック
  • ・南海トラフ地震、首都直下型地震は、今そこにある危機
  • ・「いつ来るか分からない」では済まされない──中小企業の事業継続計画
  • ・黒部市に本社機能の一部を移転したBCPともう一つの狙い(YKKグループ)
  • ・高まる危機管理広報の重要性 平時の対応がカギを握る

[Special Interview]

 大谷裕明(YKK社長)

 「企業の姿勢や行動が危機対策以上の備えになる」

[NEWS REPORT]

◆胆振東部地震で分かった観光立国ニッポンの課題

◆M&Aでさらなる成長を期すルネサスの勢いは本物か

◆トヨタは2割増、スズキは撤退 中国自動車市場の明暗

◆このままでは2月に資金ショート 崖っぷち大塚家具「再生のシナリオ」

[特集2]

 利益を伸ばす健康経営

ページ上部へ戻る