[連載]カオスの国、インド市場を知る(第1回)
日本に来てインド人が驚くことは何か
2015年12月12日

日本を訪れたインド人が驚き、感心すること
何世代にもわたって、日本は多くのインド人にとって最も憧れる国だった。こんなにもたくさんの国がある中で日本は常に特別な存在なのである。
多くのインド人が日本を訪れたわけではなく、また、日本はインド人にとって人気の留学先や就職先でもない。しかし、日本に足を踏み入れたインド人は、次に述べるようなことを、驚きをもって知るようになる。
よく言われるのは、日本では電車が時間通りに到着し、落とし物が戻ってくる。水道水は汚染されておらず、人々は整然と列に並ぶ。映画料金はびっくりするほど高い(インドの映画料金はとても安い)などだ。しかし、インド人が真に驚くのは次に挙げる事実である。
1・ハイテクトイレ
さまざまな素晴らしい機能を備えた日本の温水洗浄付きトイレ機器は、外国人、とりわけインド人を驚かせる。温かい便座、自動で開閉するフタ、ボタン1つで洗浄と乾燥ができ、自動の掃除機能までついている。公共のトイレには、緊急時の呼び出しボタンや、きれいに巻かれたトイレットペーパーが備わっている。そして特筆すべきは用を足すときに消音用にせせらぎなどの音が流れるトイレ用擬音装置である。あるインド人などはその音に合わせて踊ってしまったという。そしてもちろん、下水処理システムすべてが素晴らしい。インドのほとんどの家ではトイレだけの空間はないのであるから、このハイテクトイレ1つだけでも、一般のインド人の想像をはるかに超えている。
2・自動販売機
飲み物、タバコ、食べ物など、ほとんど何でも購入できる。さらには7の数字が3つ揃ったらもう1本タダでもらえるなどの当たり機能がついているものもある。最新式のタッチパネル形式で、スマホ世代にはぴったりマッチしている。インドでは、自動販売機を設置するのは、セキュリティーその他の問題がありいまだ不可能である。いつでも、どこでも購入できる上、温かい飲み物、冷たい飲み物を選べるというのがまたインド人を驚かせている。
日本人には当たり前でもインド人は心奪われる
3・タクシー
タクシーもまた、自動で開くドアでインド人を驚かせている。運転手はプロフェッショナルで、料金は決まっている。メーターに表示されるのはすべてを含んだ料金である。それ以上でもそれ以下でもない。料金でもめることもなく、チップを渡す必要もない。タクシー運転手にチップを渡しても断られることがある。日本のタクシー運転手はそのプロフェッショナルな仕事ぶりと正直さで知られている。タクシーに何か忘れ物をしたと連絡すれば、タクシー運転手が届けてくれることもある。外国人だけでなくインド人さえタクシーやリキシャの運転手に騙されるインドでは考えられない状況だ。
4・娯楽の数々
日本ではパチンコ店がどこにでもある。24時間合法的に遊ぶことができる。一方、インドではカジノもパチンコもない。日本ではマンガ喫茶は24時間開いており、そこで生活することもできる。インドでは法律で決められているため、一般のインターネットカフェで15分パソコンを使用するにもIDカードを求められる。インドで娯楽と呼べるものはボリウッド映画くらいである。
5・何でもラッピング
ラッピングされたギフトや、その他どんなものでも、奇麗に包装されている。インドのように破損したパッケージで売られているものはない。日本のパッケージと製品デザインには、多くのエネルギーと時間がかけられている。日本の伝統的なラッピング術やラッピングのための素材を見るだけでも、日本がさまざまな種類、形のものを包むために美しく機能的なラッピング術を培ってきたことが分かる。一般的にパッケージについて取り立てて気にすることのないインドでは考えられないことだ。
時間厳守、仕事・ビジネスに関してタフな意思、「お客さまは神様です」などの考え方とともに、日本人が当たり前と考えることや月並みと感じることも、インド人にとっては心奪われるようなことであったりする。それは、経済的、社会的な考え方のギャップによるもので、インドは日本よりも50年発展が遅れていると言う人もいる。インドの一般人は日本や日本での生活について、驚いたり、感心したりせずにはいられないだろう。
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