国際

日本企業とのビジネスを重要視するインド政府

 

 この数年間で日印関係は非常に深化している。

 2015年、モディ首相が来日した際、安倍首相は3・5兆円の官民の投資を行うことを約束した。インド経済は2兆ドルレベルになり、7%で成長している。モディ首相は20年までに製造業のGDP比率を現在の15%から25%へと引き上げるための改革を進めている。

 インドでの日本の事業を一段と促進するため、14年10月、政府内にジャパン・プラスが設置された。このようなオフィスが初めてつくられたということは、日本をどれだけ重要視しているかということの表れだ。

 ジャパン・プラスは、日本を重視するモディ首相の発案でインド商工省内に設置された組織。進出している日本企業の支援、日本企業誘致などが業務だ。

 このような組織は他にはなく、内外無差別が基本原則のインドにおいて、日本だけを特別に重要視しているのが、モディ政権の大きな特徴だ。

 インドには非常に大きな経済的機会が存在している。日印両国の特別な関係を考えると、経済においては補完的関係にあると考えている。日系企業がお互いのために、さらに積極的に進出することを期待している。

 一方で日本企業はどういった点に注目してこれからのインドビジネスを考えれば良いかについては、まだまだ情報待ち状態である。

 現在、日本企業は約1200社が進出しており、毎年十数%伸びている。16年からの3年間は、進出企業がこれまでにない大きな伸びを示すとみられている。

 日本企業がインドで事業拡大する一番の理由として、内需の成長ポテンシャルが挙げられる。

 これは輸出向けの生産拠点ととらえられていたASEANや中国とは大きく異なる。ここ数年、インドの中間層が非常に育っている。インドに進出した日本企業は売り上げの7割以上が内需であり、インド市場に合った商品の開発がポイントになる。

 これまで、日本企業のインドでの工場数をみると、6割以上が自動車・自動車部品関連だった。今後インドでの事業拡大を考えている企業を業種でみると自動車関連は3分の1で、その分、機械、電気・電子、化学などが増えている。

 自動車以外の分野がこれからインド進出を検討しているのだ。今なら他の地域と異なり、日系企業間での競合は少ないと言える。

日本企業によるインド進出の現状と将来性

 

 日本企業が海外ビジネスを考えている一番の国がインドであるにもかかわらず、実際に進出している企業の割合はASEAN、中国と比べて圧倒的に少ない。

 将来の期待と現状のギャップが非常に大きいのだ。このギャップの原因は何か。まず、日本人駐在員の生活環境。2つ目に電気、水、道路などのインフラ不足。そして法制度や税制面での難しさだろう。これらが進出を決める上でのボトルネックとなっている。

 解決策の1つとして、生活環境のいいところから通える範囲内で、レベルの高い工業団地を提供することをインド政府は進めている。高層マンションを建設し、日本人学校のスクールバスが敷地内まで来るというケースもある。

 工業団地も、地元資本と日系デベロッパーが共同して開発するプロジェクトも進められている。インドの最新の状況を理解いただければ進出のハードルは低くなるだろう。

 インドの経済は13年がGDP成長率6.9%、インフレ率9.8%だったが、16年はそれぞれ8.3%、5.0%と予想されている。インフレを抑えつつ成長するということだ。

 成長の一方、物価は低いレベルでコントロールされている。政治は安定している。こうした点が投資家からの信頼を高めている。

 インドが投資を期待する分野を見ると、最も重視しているのはインフラ。インフラが整備されれば、投資環境全体が良くなる効果を期待している。

 インドは石油・ガスの70%以上を輸入に頼っている。これを国内に供給するためには、1万5千キロメートル以上のガス・パイプラインが必要だ。また、電力が不足している状況から再生可能エネルギーの活用も大きなポテンシャルを持っている。

 インドのGDPの10%を占める建設関連も重要分野だ。自動車部品については言うまでもない。これまで外国投資に開放されていなかった防衛産業が優先分野に位置付けられたことは注目だ。鉄道は日本から多くのサポートを得たい分野だ。

関連記事

好評連載

グローバルニュースの深層

一覧へ

習近平政権下の中国経済と新時代の到来

[連載] グローバルニュースの深層

グローバルニュースの深層

[連載] グローバルニュースの深層

原油事情に関するロシアの分析

[連載] グローバルニュースの深層

プーチン露大統領の内外記者会見

[連載] グローバルニュースの深層

中間選挙後の米国を展望する

[連載] グローバルニュースの深層

中国を制するものは世界を制す

変貌するアジア

一覧へ

鴻海によるシャープ買収のもう1つの狙い

[連載]変貌するアジア(第37回)

[連載]変貌するアジア(第36回)

SDRの一翼を担う人民元への不安

[連載]変貌するアジア(第33回)

開催意義不明の日中韓首脳会議

[連載]変貌するアジア(第32回)

朱立倫の総統選出馬と台湾海峡危機

津山恵子のニューヨークレポート

一覧へ

CESの姿が変わる花形家電よりもネットワークに

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第20回)

津山恵子のニューヨークレポート

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第19回)

米・キューバ国交回復のインパクト

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第18回)

クリスマス商戦に異変! 店舗買いが消え行く

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第17回)

格差問題が深刻化する米国―教育の機会格差解消にNY市が動き出す

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第16回)

米中間選挙で共和党が圧勝 16年大統領選はどうなる!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年1月号
[特集]
平成の事件簿

  • ・[イトマン事件]闇勢力に銀行が食い荒らされた戦後最大の経済事件
  • ・[ダイエー、産業再生機構入り]一代で栄枯盛衰を体現した日本の流通王・中内 功の信念
  • ・[ライブドアショック]一大社会現象を起こしたホリエモンの功罪
  • ・[日本航空経営破綻]親方日の丸航空会社の破綻と再生の物語

[Special Interview]

 高橋和夫(東京急行電鉄社長)

 「100周年に向けて、オンリーワン企業の強みを磨き続ける」

[NEWS REPORT]

◆かつてのライバル対決 明暗分けたパナとソニー

◆経営陣に強い危機感 富士通が異例の構造改革断行

◆売上高1兆円が見えた ミネベアミツミがユーシンを統合

◆前門の貿易戦争、後門の技術革新 好決算でも喜べない自動車各社

[特集2]経営に生かすAI

 「人工知能は『お弟子さん』
日常生活が作品になるということ」
落合陽一(筑波大学准教授)

ページ上部へ戻る