政治・経済

ICTの積極活用を公共事業の建設現場で

 国土交通省が、公共事業の建設現場における情報通信技術(ICT)の活用などで、生産性向上に向けた取り組みを本格化させている。深刻化する人手不足に備えるとともに、企業の経営改善を図るのが目的。

 国交省は小宮山宏・三菱総合研究所理事長を委員長とする検討委員会を設置。2016年3月までに報告をまとめる方向。石井啓一国交相は11月24日の閣議後会見で「抜本的な生産性向上で、技能労働者1人当たりの生産性は将来的に5割向上する可能性がある」と述べた。

 取り組みの中で、特に推進するのが、「i-コンストラクション」と名付けたICT技術の活用だ。建設現場は大きく分けて測量、設計・施工計画、施工、検査という4工程を経るが、全行程でICT活用を前提とする。

 例えば、測量では小型ドローンで空から3次元測量を行い、そのデータを基に設計図面を作成。施工は設計データを読み込んだ自動制御の建機が行い、検査もドローンの3次元測量で書類を減らしていく。国交省は、i-コンストラクションの採用で、作業効率が5割向上する施工をはじめとして、各工程で省力化が図れると強調する。

 併せて、年度末に集中する工期の分散化も図る。公共事業で2カ年国債の活用で単年度発注を見直し、年度をまたぐ工期の設定を増やすことで、建設現場における人材や建機の効率的配置に加え、技能労働者の労働環境改善を図る。

 国交省によると、建設業界はバブル崩壊後、労働力の供給過剰が続き、省力化につながる現場の生産性向上が見送られてきた経緯がある。だが今後は、技能労働者の高齢化を背景に、人手不足に拍車が掛かることが予想されている。

 安倍晋三首相が「新3本の矢」で掲げる「国内総生産600兆円」の達成に向けても、企業の生産性向上は喫緊の課題だ。アベノミクス効果により、建設業界の経営が安定する中、国交省としても、「やるなら今しかない」との判断が働いたとみられる。

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