政治・経済

20151006_Z_096_MRJ_FTA MRJ(三菱リージョナルジェット)が2015年11月11日、初飛行に成功したYS-11の製造終了から40年を経て、。国産のジェット旅客機の再誕生がいよいよ間近に迫っていると言えそうだ。航空路線をMRJが飛び交う未来が実現すれば、日本航空史にも残る大きな一歩になるだろう。

 三菱重工の子会社でもある三菱航空機では、今後も国内でテストを行い、2016年第2四半期から米国ワシントン州モーゼスレイク市のグラント・カウンティ国際空港を拠点に飛行試験を実施する予定だ。また、2017年第2四半期の初号機納入を同社では目指していることが公表されている。

 MRJのライバルとなるのは、ブラジルのエンブラエル、カナダのボンバルディアの老舗2メーカーと、新規参入組のロシアのスホーイ、中国商用飛機有限公司などだ。ジェット旅客機では世界2大メーカーである米国のボーイングと欧州のエアバスは、小型ジェット旅客機市場に参入しておらず、MRJにも競争に 打ち勝つチャンスは十分にある。[提供:ZUU online]

MRJ初飛行でがぜん盛り上がる「日の丸」航空機産業

 予測からも、リージョナルジェット市場は有望だとみられている。日本航空機開発協会は、今後20年間で世界の航空旅客需要が約3倍まで拡大すると予測している。
 
 特に、三菱航空機がMRJで参入する70~90席クラスの旅客機は、全世界で5000機以上の新規需要が発生すると見込まれており、有望な市場と見込まれる。さらには、裾野の広い航空機産業の各社が恩恵を受けるとの予想も働く。

 その根拠も今では広く知られている。例えば、ボーイング社の最新旅客機である「ボーイング787」の部材の35%は日系企業が提供。三菱重工が主翼を、川崎重工 は前方胴体・主翼固定後縁・主脚格納庫を、さらに富士重工は中央翼・主脚格納庫の組み立てと、中央翼との結合を受注している。また、エンジンには、三菱重工、川崎重工、IHI が参画しているほか、機体に使用する炭素繊維複合材料を提供しているのは東レだ。

 ボーイングが787の引き渡しを開始した2011年は3機納入したのみだが、その後徐々に増加し2015年は11月までに126機を納めている。受注残は2015年10月時点で788機あり、今後も日本企業の部材出荷の着実な増加が見込まれ、このまま順調に生産が進めば継続的な需要が見込まれる。

航空機産業の50%が中部地方に集中

 日本航空宇宙工業会によると日本の航空機産業の総生産額は、2016年3月期で1兆6704億円に達する見込みだ。2012年3月期の1兆222億円から僅か5年で1.6倍増加することになる。こうした急成長を支えているのが中部地方の工場だ。中部経済産業局によれば航空機産業の生産額の50%を中部地方が占めているという。
 
 愛知、岐阜、三重、静岡県内には、名古屋空港に本拠地を置く三菱航空機を始め、三菱重工、川崎重工、富士重工、東レ、ナブテスコ、シンフォニアテクノロジー、小糸製作所など多数の航空機関連工場がある。

 ほかにも、ホンダが小型旅客機事業を立ち上げているほか、部材メーカーとしても、三菱航空機の親会社である三菱重工、川崎重工、旧中島飛行機の流れをくむ富士重工がジェット機の主要部材サプライヤーとなっている。

 ほかにも、エンジン、管制システム等を販売しているIHI、機体制御システムを製造するナブテスコ、電源システム、エンジン補機等を手掛けるシンフォニアテクノロジー、照明機器の小糸製作所、航空機器、内装品、整備のジャムコ <7408>など多数の企業がサプライヤーとして活動している。

 政府もこれらの企業を支援する目的で2011年12月に国際戦略総合特区として愛知、岐阜地域を「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」に指定。研究開発から設計、製造、保守管理までの一貫体制を構築し、米国シアトル(ボーイング)、仏国トゥールーズ(エアバス)と並ぶ航空宇宙産業の主要拠点作りを目指しており今後、具体的な成果に結び付けられるかが問われそうだ。

zuu_logo_header190x60

 

 

 

【関連記事】
・初飛行目指すMRJは東海経済を押し上げられるか?
・投資家必見!IPO当選確率を上げる5つの方法
・日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
・社会人注目!日経新聞・四季報などがネット上で全て閲覧可!その意外な方法とは
・なぜ今「投資漫画」なのか。『インベスターZ』著者が語る「お金」とは?

 

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

「損して得を取る」事業モデル  不動産登記情報を扱う「登記簿図書館」をご存じだろうか。 かつては法務局でしか取得できなかった登記簿情報がオンラインで簡単に取得でき、かつ、法務局では対応できないさまざまなサービスを提供するというものだ。保有登記情報は全国2450万件、会員数9500社を誇る。 この登記簿図書館を…

支持政党なし

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

独自のプラットフォーム戦略で、外食産業の新たなスタンダードを創造する――きちり社長 平川昌紀

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界4月4・18日号
[特集]
紙メディアの未来

  • ・青木康晋(朝日新聞出版社長)
  • ・一木広治(ヘッドライン社長)
  • ・村野 一(デアゴスティーニ・ジャパン社長)
  • ・嶋 浩一郎(博報堂ケトル社長・共同CEO)
  • ・高井昌史(紀伊國屋書店会長兼社長)
  • ・消えたB2Bメディア コントロールドサーキュレーションの功罪

[Special Interview]

 吉永泰之(富士重工業社長)

 「守りに入らず攻め続けるためにスバルへの社名変更を決断した」

[NEWS REPORT]

◆三越伊勢丹、ヤマト運輸……人手不足が労組を動かす

◆攻めの農業の象徴 農水産物輸出1兆円は大丈夫か

◆“豪腕”森信親・金融庁長官の続投濃厚で戦々恐々の金融界

[著者インタビュー]

 手嶋龍一(作家、ジャーナリスト)

 稀代のスパイはインテリジェンスセンスを磨く最高のテキスト

ページ上部へ戻る