マネジメント

日本の残酷な現実と向き合う若者

 11月中旬に発売した拙著『あなたがもし残酷な100人の村の村人だと知ったら』(経済界)が依然として好調だ。所期の目的どおり、学生や若いサラリーマンが読者の中心を構成していると聞く。

 面白いのは東京などの大都会より、地方でよく読まれていることだ。特に、青森、福島、宮城、長野、静岡、大阪、神戸などの書店で売れ行きがよい。 地方から始まって、大都市に、そして全国へというのは、ベストセラーのひとつの形だという。

 ともあれ、日本のあちこちで、真剣に日本の現実と向き合っている、若い読者の姿が胸に浮かぶ。

 ここに収載した《残酷なデータ》をもとに、若い世代の男女に、これからの生き方を考え、時に議論してもらえれば、ありがたい。

 生き方を考えたり、議論したりするネタは、本書は豊富である。というのも、ネタは《残酷なデータ》だけではないからだ。

 むろん、日本に内在する、これからの若い世代にじわじわと浸潤する事実、危うい社会保障の将来、広がる正規社員と非正規社員の格差社会、女性の貧困、ワーキングプア、企業のグローバル化とコンピューター化の進展による人間の排除などは、たいていここに納められているが、本書はそれにとどまるものではない。

若者を直撃するどうしようもない日本の現実

 この本は全体を4つのパーツに分けて構成されている。

 初めは、絵本仕立ての「残酷」の概要。やさしい表現で書かれているが、ここに目を通すだけで、日本が向き合っている残酷な現実が、よく伝わるようになっている。

 次に、将来に生きる、若い世代の人々を直撃する、どうしようもない日本の現実。ここは具体的に数字を挙げ、グラフなどを豊富に用いて立証し、残酷な事実と将来の展望を提示している。

 さらに、この現実の社会をどう生きたらよいのかという、ひとつの考え方だ。あるいは、FP(ファイナンシャル・プランナー)である私からのアドバイスと捉えてもらってもいい部分である。

 最後に【付録】という形で、「お金」というモノは、現代では何を意味するか、を考えている。この4つのパーツがそれぞれ、考える対象、議論を戦わすネタになるのだ。

 むろん、まず初めの2つのパーツ、残酷な事実の例証に目が行くのは当然だろう。

 その一つひとつはテーマとして重いが、ぜひ考えてもらいたいし、議論もしてもらいたい事実ばかりだ。

残酷な日本を生き抜くために

 だが、私が読者の皆さんからの声としてうれしくなったのは、この現実をただ提示するのではなく、どう生きたらよいかという、私からの提案があってよかったという評価。そしてここに、大きな注目が集まったことである。

 この部分では、私は日頃から考えていることを記した。それはどういうことかというと、人生でお金のバリューを、皆さん誤解していませんか、ということだ。

 この誤解が高じて、人生を生きにくくしている人が多いのだが、実は、それほどお金のバリューは高くないのだ。最もお金と近しい関係にあるFPの私が言うのだから、間違いはない。

 説明するために、人生の資本を自分資本、お金資本、人間関係資本と分け、それぞれが必要なのだ、この3つをバランスよく働かせることでこそ、この残酷な日本を生き抜く力が得られる、と説いたのだ。そして、これからの時代は、何もかも所有したいという所有志向の人は負けていくしかない、と結論付けた。

 私の言葉に勇気づけられましたとメールをくれた読者も、たいへん多いのである。

[今号の流儀]

 自分・お金・人間関係資本をバランスよく働かす人が人生に勝利する。

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

未来のモビリティ社会実現に向け日本と欧州の懸け橋に―シェフラージャパン

自動車産業・産業機械の世界的サプライヤー、シェフラーグループの日本法人で2006年イナベアリングとエフ・エー・ジー・ジャパンが合併して設立。国内4拠点で自動車エンジン、トランスミッション、シャーシなど精密部品、産業機械事業を展開する。文=榎本正義四元伸三・シェフラージャパン代表取締役・マネージング…

シェフラージャパン代表取締役 マネージング・ディレクター 四元伸三氏

日本一歴史の長い女性用化粧品会社が挑む「革新と独創」―伊勢半

【特集】2019年注目企業30

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

チェ・ゲバラに憧れた10代起業家が目指す「働き方革命」― 谷口怜央・Wakrak(ワクラク)社長

高校中退、ITスキルなしの17歳の青年が立ち上げた会社が、わずか2年で利用企業約500社、ユーザー約6万人のアプリを運営するまでに成長している。「世の中を変えたい」という思いを原動力に突っ走る谷口怜央・Wakrak(ワクラク)社長に話を聞いた。(取材・文=吉田浩)谷口怜央氏プロフィール…

Wakrak(ワクラク)社長 谷口怜央氏

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年6月号
[特集] 進化するリーダーシップ
  • ・あなたは北風、それとも太陽?
  • ・小路明善(アサヒグループホールディングス社長兼CEO)
  • ・鈴木貴子(エステー社長)
  • ・千葉光太郎(ジャパン マリンユナイテッド社長)
  • ・二木謙一(國學院大學名誉教授)
[Special Interview]

 中村邦晴(住友商事会長)

 「正々堂々と向き合えば、仕事は人を幸せにする」

[NEWS REPORT]

◆パイオニアに続きJDIも 中国に買われる日本企業の悲哀

◆会社はだれのものなのか サイボウズと株主がつくる“共犯関係”

◆24時間営業はどこへ行く コンビニ業界未来予想図

◆トヨタとホンダが手を組み参戦 「MaaS戦争」いよいよ勃発

[特集2]ブランド戦略 新時代

 技術やデザインだけではない ブランドとは商品の哲学だ

ページ上部へ戻る