経済界大賞

酒造りに革新をもたらすブランド向上へ挑戦を続ける

優秀経営者賞 桜井博志 旭酒造社長

優秀経営者賞
桜井博志 旭酒造社長

 杜氏に頼らない製造方法で、酒造りのイノベーションを起こしたのが旭酒造だ。蔵元である桜井博志社長の意志を最大限に反映させた純米大吟醸酒「獺祭」は、「味わうための酒」として人気を博している。

 今や獺祭は一大ブランドとなったが、桜井社長が現在留意しているのが、ブランドの維持・向上だ。酒の品質や世界観をアピールする一方で、安易な拡大路線は採らない。

 「ブランドをつくる上で、本当に伸ばしていこうとするなら、取引先も選別していくべきで、どこに売らないかということが大事です。商品群もなるべくシンプルに、必要のない贅肉はそぎ落とすことが大事」だと桜井社長は語る。

 近年はパリへの出店が注目されているが、政情不安もあり遅れている。一番のポイントは桜井社長がこだわる立地条件に見合った物件がなかなかないためで、あせらず粛々と進めるという。パリに限らず、日本国内の展開においても「意味のないところには出さない」方針だ。

 今後については、「より品質をアップさせていきたい」と語る。旭酒造は2015年4月に新社屋を完成させ、生産出荷量は前年の1万5500石から2万5500石に拡大した。まだ施設に余裕があり、最大5万石まで対応できるというが、すぐに拡大はしない方針。原料の山田錦を充足させることは不可能ではないが、品質のばらつきがあるため、一気に増やすことは問題があるという。

 製造体制においては、製造スタッフを分けて、例えば入社3年目と入社10年目のチームで製造を競わせている。会社の拡大に伴い組織が硬直化するきらいがあり、若いスタッフに挑戦させる気風が薄れることを危惧する。こういった取り組みを組織の活性化につなげる。

 「いろんな可能性があると思うが、それを止めては駄目だということ」

 桜井社長の挑戦は続く。

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