経済界大賞

5期連続最高益でも挑戦者の姿勢を忘れず

大賞 澤田秀雄 エイチ・アイ・エス会長

大賞
澤田秀雄 エイチ・アイ・エス会長

 2015年10月期の連結業績が、売上高、営業利益、経常利益とも5期連続の過去最高となったエイチ・アイ・エス。躍進の原動力となったのは、澤田秀雄会長の卓越したリーダーシップと実行力である。

 日本国内だけを見れば、本業の旅行業を取り巻く環境は決して良いとは言えない。インバウンドは盛り上がっているものの、円安の影響で日本から海外へのアウトバウンドは伸びが期待できず、中長期的に見ても人口減少で市場そのものが縮小していく状況にある。そうした時代の到来を見越して、早くからアジアへの展開を進めてきたこと、さらにテーマパーク事業やホテル事業などによって、訪日外国人観光客を取り込んできたことが、今になって奏功している。

 澤田氏が優れているのは、業績絶好調の状況にあっても、常に新たなチャレンジを継続できるところだ。世界で初めて、フロント業務をロボットに任せる「変なホテル」を開業したり、電力の小売り自由化を見越してエネルギー事業に参入したり、農業分野への進出を模索したりと、とにかく行動が早い。それもやみくもに参入するのではなく、ハウステンボス(HTB)の広大な敷地とインフラを生かして、実験を重ねたうえで事業の可能性を見極めるという慎重さも兼ね備えている。

 振り返れば、10年に再建請負人としてHTBを任された当初は懐疑的な見方が多かった。しかし今や、同施設の経営を黒字化させただけでなく、さまざまな事業の巨大な実験場という、強力な武器を手に入れることにもなった。本人は「運が良いだけ」と謙遜してみせるが、チャンスを見極めて行動し続けてきたからこそ掴んだ運ということだろう。

 今から17年前の第24回経済界大賞では、スカイマーク会長として敢闘賞を受賞した澤田氏。当時よりさらにスケールの大きな事業家として、今回は文句なしの大賞受賞となった。今後、どこまで突き進むのか、期待したい。

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