政治・経済

「実質0円」携帯の廃止に動く総務省

 安倍晋三首相の指示を受けて総務省の有識者会議が検討してきた携帯電話料金の引き下げ論議が昨年12月16日に最終とりまとめを行った。

 報告を受けて総務省は同月18日にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社社長を呼んでスマートフォンの料金負担の軽減および端末販売の適正化を要請した。

 3社は1月中にもライトユーザー向け料金プランや長期ユーザー向け割引料金プランなど料金体系の見直し策を発表し、2〜3月の年度末商戦に適用される見通しだ。

 総務省は販売報奨金の適正化や「実質0円」端末見直しによる販売の適正化も求めている。携帯会社の乗り換え客争奪戦に1台数万円の資金を投入する販売競争や毎月の携帯料金から端末代金の割り引く「実質0円」が市場競争を歪めていると指摘。総務省は違反企業には業務改善命令も辞さずの構えで実効性を担保している。

 しかし、「実質0円」が完全になくなることはなさそうだ。

 新規機種に対して販売奨励金や月々の通信料金割引という現金投入合戦こそ沈静化しても、在庫処理という大きな壁があるからだ。型落ちモデルは奨励金がなければ売りさばくことはできず、総務省もその点にまで踏み込む考えはなさそう。

 型落ちモデルは「実質0円」を含む大幅割り引きがなければ売り切ることは到底不可能で、販売奨励金は在庫処理用に不可欠なコストといえる。もちろん、新モデルに対しても販売用奨励金は使われるが、他社からの乗り換えを狙ったキャッシュバック(現金還元)原資は禁止されることになる。

 ソフトバンクの宮内謙社長が「1GBで5千円以下になるようなプランを検討している」と話すように、ドコモ、KDDIの3社はライトユーザー向けの料金プランを検討。1月中には3社の新料金プランが出そろう見通しだ。

「実質0円」廃止で若者の携帯購入意欲をそぐ恐れも

 「実質0円」の是正をめぐっては、議論の途上で、公明党の青年委員会が高市早苗総務相に対して「激変緩和措置を」と要望。高市総務相も検討を示唆していた。若年層には「実質0円」など端末価格が安いことでスマートフォンを購入しやすい実態もあり、今回の措置で端末価格が急騰すれば、若年層の購入意欲を削ぎかねないというわけだ。

 総務省の携帯電話見直し方針によって、1年で最もかき入れ時の年度末商戦が低迷すれば「官製不況」のそしりは免れない。総務省では2007年の「0円端末廃止」で国内携帯電話市場が落ち込んだ悪夢を再び見たくないとの思いは強い。

 「実質0円」端末は、行政と通信会社、販売店の事情がからみ、春以降も生き残ることになりそうだ。

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