マネジメント

読者としてもテレビマンとしても心に残る一冊

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(わざき・のぶや)1944年京都府生まれ。68年京都大学教育学部卒業後、日本放送協会(NHK)入局。その後、総合企画室(デジタル放送推進)局長、理事に就任。2005年に社団法人地上デジタル放送推進協会専務理事となる。06年よりWOWOW会長、07年に社長に就任し、2015年7月より現職。

 和崎氏が選んだ本は、司馬遼太郎氏の代表作のひとつ『坂の上の雲』(文藝春秋)。近代日本の夜明けを描いたこの作品と、和崎氏の縁は深い。

 産経新聞で『坂の上の雲』が連載された1968年から72年、時を同じくして和崎氏もNHK松山放送局に赴任していた。20代前半であった和崎氏は、大きな志を胸にNHKに入局したものの理想と現実の狭間で迷いが生じていた時だったと言う。そんな時、松山を舞台にしたこの作品と出合い、明治初期のある種の混乱の中、次代を切り拓こうとする同世代の3人の若者から、大きな力を貰ったと言うのだ。

 その後、東京に戻り「NHK特集 シルクロード」などのドキュメンタリー番組制作に携わる中で作者である司馬氏と出会うことになる。そして、その交流は司馬氏が亡くなるまで続いた。

 随分前から映像化をお願いしていた和崎氏だったが、司馬氏は頑として首を縦に振らなかったという。それは、読む人によっては戦争賛美の作品だと思うなど、読み手によっていろんな解釈ができるからだったそうだ。司馬氏の死後、夫人である福田みどり氏に映像化の許可を得たのも和崎氏だった。ただ、2009年から3年かけてドラマ化された時、和崎氏は既にWOWOWへと活躍の舞台を変えていた。和崎氏は、「20代で読んで、40代で読んで、その後、もう一回と都合3回読んでいますが、その時々で感じ方も違います。20代は、迷っていた時期でもありますが自分に寄せて読みました。40代以降は、一歩引いた視点でその時おかれた日本の状況などを考えながら読みました」という。

 読み手としても仕事でも大きな影響を受けた、まさに人生の一冊であろう。

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