マネジメント

どのようにしてお金を貯めるか

 『あなたがもし残酷な100人の村の村人だと知ったら』(経済界)は、日本の今と将来を知るための教科書であるが、もうひとつ、

 「お金とは何か」

 という問いに、ファイナンシャルプランナー江上が全力で答えている。むしろこちらが本書のテーマと言っていいかもしれない。

 本コラムは「年収1億円の流儀」すなわち高額所得者の生き方を考えるものであるから、今回は同書で語られるお金の世界を少し紹介することにしよう。

 私はここで、お金を貯める方程式を出している。それは実にシンプルなもので、

(収入―支出)+(資産×運用利回り)

 つまり、収入を増やし、支出を減らし、それによって発生した余剰のお金を、いちばんいい利回りで運用する。これを繰り返すだけだ、というものである。実際、これを行うことでしか、私たちは資産をつくることはできない。

 このシンプルな方程式は、資産形成に関する、もうひとつの真理を語っている。

 収入も支出も、運用も、いずれもが、自分でコントロール(管理)できる。お金持ちとは、自分で管理できること以外には手を出さず、地道な努力を続ける人のことなのだ。これ以外に、お金持ちにはなれないのである。

お金が悪いことをするわけではない

 本書ではまた、お金の真実を理解してもらうために、多くの賢者の言葉を引用している。世の中に通暁した賢者の言葉には、短くはあるが、ハッとするほどの豊かな内容が籠められているものだ。

 お金の世界に関しても同じで、その言葉を噛みしめると、自分の短慮や誤解していたことなどを、じんわりと気付かせてくれる。

 たとえば、『自助論』などの名著で知られるイギリスの作家、サミュエル・スマイルズは、こう言う。

 「諸悪の根源はお金そのものではなく、お金に対する偏愛である」

 お金のために、どれほどの悪事がこれまで行われてきたことか。しかし、お金が悪いことをしたわけではない。人間がお金を愛し過ぎたからにほかならない、というのだ。

 お金があれば何でもできる、人生、なんとでもなると考えている人も、このタイプに入るだろう。

 「うまくお金を使うのはそれを稼ぐと同じくらい難しい」と言ったのは、世界一のお金持ちになった時のビル・ゲイツである。大金持ちの彼だからこそ言えた言葉だ。

使う目的をまず考えよ

 私は、「お金を稼ぐ」前に、「稼ぐ目的」を考えよ、ということを常に言っている。

 恐らくビル・ゲイツのこの言葉と私の考えは通底していると思うのだが、目的もなく貯めよう、稼ごうと考えている人が多過ぎる。

 ビル・ゲイツは恐らく、稼ぎながら、常に「何に使うか」を念頭に置いていたに違いないのである。お金は稼ぐことより、実は何に「使う」かのほうが重要なのだ。

 ソクラテスも、こう言っている。

 「お金持ちがそのお金をどのように使うか分かるまで、その人間を褒めてはならない」

 実際、あなたは何に「使おう」と考えて、今、お金を稼いでいますか?

 決定的なことを、アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが言っている。

 「お金が人間を堕落させるのではない。儲けるためだけに儲け、貯めるためだけに貯めようとすることが、人間を堕落させるのである」

 稼ぐこと、儲けること、貯めること、それ自体を目的化している人が多い。稼ぐ、貯める目的を、もう一度考えておきたいものである。

[今号の流儀]

 お金は「稼ぐ」「貯める」より「何に使うか」が重要である。

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