経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

時代をリードする経営者の実像

サイバーエージェント藤田晋、ソフトバンクグループ孫正義、エイチ・アイ・エス澤田秀雄常に世界を視野に入れる壮大なスケール感――孫 正義(ソフトバンクグループ社長)

ソフトバンクグループ孫正義 日本のカリスマ経営者として誰を想起するかと言えば、まずこの人の名前が挙がるだろう。IT関連企業ソフトバンクグループの創業者で、その事業領域は、ソフトウエア卸売り、出版、eコマース、金融、証券、ベンチャーキャピタル、Yahoo!BBなどの通信事業、放送事業などに広がり、福岡ソフトバンクホークスのオーナーでもある。

IoTやAIなどの新しい事業分野へも挑戦し、2015年に発売した世界初の自分の感情を持ったパーソナルロボット「Pepper」は累計販売台数7千台を超え、さまざまな産業分野で活躍している。また国内の通信会社4社が合併して生まれ変わったソフトバンクは、今年4月から一般家庭への電力小売りを開始する。

海外では、米通信事業者スプリント・コーポレーションを買収、再建に向けた取り組みを展開中で、ソフトバンクグループとして投資したインドや東南アジアなどの企業群は、順調に成長している。エネルギー分野では、国内に24基の太陽光発電所を稼働させており、インドでも太陽光発電所の事業権を獲得。世界的視野で地球環境への貢献を目指している。

今やグローバル企業となったが、カリフォルニア大学の学生だった19歳の頃、既に世界を視野に入れていた。米国で数人の社員を雇って会社を起業したが、母親との約束で卒業後は日本に帰国。しかし、社員には「I shall return」と約束していたという。「知的生産能力を持った日本の優れた労働者によって、頭を使って設計、デザイン、マーケティングに特化し、進化した企業集団にしないと300年後の世界では生き残れない」と明言。その視線は、はるかかなたに向かう。

挑戦する心と時代を読む目――澤田秀雄(エイチ・アイ・エス会長)

エイチ・アイ・エス澤田秀雄 ドイツに留学していた大学生時代に、日本語ガイドのツアーを企画して成功したのが事業家としての澤田氏の原点だ。日本に帰国後、エイチ・アイ・エスの前身となるインターナショナルツアーズを創業。ベンチャーの旗手として有名になった後も、航空事業に参入したり、インターネット証券に進出したり、テーマパークを再建したりと、とにかく挑戦を続けるのが澤田流。現在はロボットやエネルギーの分野に本格参入を目指している。

もし、澤田氏が何も持たない20代の若者で、今起業するなら何をやりたいかを尋ねてみた。

「やはりスマホを使ったビジネスでしょうね。スマホは今や誰でも持っていますし、ここできちんと情報を伝えることができればビジネスにつながる可能性が高い。もうひとつは資金が必要にはなりますが、今も手掛けているロボットの分野。あとは自然と健康にかかわる事業ですね。いくらインターネットやロボットが発達しても、人間は自然や宇宙に影響される存在なので、そこにかかわるビジネスをやりたいと思います」

エイチ・アイ・エスが単なる話題企業の1つにとどまらなかったのは、事業を小さく興して大きく育てる展開力の賜物だ。スマホアプリなどのベンチャー企業が続々と登場している昨今ではあるが、鍵を握るのは、そこで得た資金を次にどう展開するか。時代を読む目と、人間や社会に対する鋭い洞察が必要なことを、澤田氏は教えてくれる。

チャンスを見逃さぬ勝負勘――藤田 晋(サイバーエージェント社長)

サイバーエージェント藤田晋 多くの若手起業家が憧れる存在である藤田晋氏は、もともと経営者に憧れていたわけではなかった。だが、学生時代に読んだ『ビジョナリー・カンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著)に書かれていた「会社そのものを究極の芸術作品にする」という考えに惹かれて起業家の道を選んだ。

藤田氏が事業家として大きく躍進できたのは、チャンスと見るや大きく勝負に出る思い切りの良さゆえだ。同氏によれば、勝負のタイミングは1度目が起業の時、2度目がネット広告事業からメディア事業への大転換を果たした時、そして3度目がスマホ事業に一気にシフトした時だという。「何かを変えるときには自分が先頭に立たないといけない」と、熱く語る。

華やかなイメージがある藤田氏だが、インターネットバブルの崩壊で会社を売却する寸前まで行ったこともある。そうした経験から培った精神力や忍耐力が武器の経営者である。

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