政治・経済

 

 幾多の紆余曲折を経て決着した2017年卒採用の新スケジュール。12月7日、経団連は「3月 採用広報開始、6月 採用選考開始、10月 採用内定開始」とする2017年卒採用に向けて改定した「採用選考に関する指針(以下、指針)」と「手引き」を公開した。

 今回の指針の改定では、「選考活動」が「卒業・修了年度の8月1日以降」から「卒業・修了年度の6月1日以降」へと変更されたほか、「留学経験者」や「卒業時期の異なる学生」について配慮する記述が追加された。「手引き」では、時期や時間帯など、学事日程への一層の配慮を求めているほか、大学での成績を選考材料とすることを薦めるなど、学生が学業に向き合うことを促す内容となっている。
 

 HR総研では、2015年11月下旬に企業の採用担当者を対象に、「2017年卒採用スケジュールに関する緊急アンケート」を実施したので、その結果を紹介したい。

 まず、経団連が決定した「3月 採用広報開始、6月 採用選考開始」の新スケジュールをどう評価しているか。全体集計の結果では、「『8月 採用選考開始』のままにすべきだった」とする企業は4%しかなく、最も多かったのは「『4月 採用選考開始』まで戻すべきだ」で、49%と半数にも及ぶ。「時期の規制をなくすべきだ」とする意見も25%と4分の1もあり、今回の「『6月 採用選考開始』は妥当な判断だ」と評価する企業は14%と少数派にとどまっている。

 経団連自身も「4月 採用選考開始」を理想としつつも、個別企業の説明会場の予約はもちろんのこと、大学での学内企業セミナーや各種の合同企業セミナーの計画も進んでしまっており、この時期となってしまっては「3月 採用広報開始」を早めることは現実的ではないと判断したのだろう。採用選考開始だけを前倒しにするのには6月が限界だったというわけだ。ただ、「3月 採用広報開始」を前提にしたとしてもなお、「4月 採用選考開始」にすべきだったという意見が根強い。今さらながら、2016年卒採用で政府の横やりにより、無意味なスケジュール変更をしてしまったことが悔やまれて仕方がない。

 
 

 

 昨年、水面下での採用活動を展開した大手企業からすれば、「6月 採用選考開始」は実態にほぼ近くなるわけで、「8月 採用選考開始」と比較すれば、まだ守りやすい日程になったといえる。ただし、企業の見方はそんな簡単なものではない。経団連傘下の大手企業の採用選考時期はどうなると思うかを聞いたところ、「守る企業が増える」とする企業が24%あるものの、反対に「減る」とする企業も20%あり、結果的には昨年と状況は変わりそうにない。「8月 採用選考開始」よりは守りやすくなるとはいうものの、結局抜け駆けを図って少しでも優秀学生を囲い込もうとする動きを制御することはできず、水面下の動きがさらに前倒しになるだけだと考える企業が大半だ。

 日本経済新聞の1月4日付け朝刊によれば、DeNAは昨年12月1日から17年卒の採用活動を始め、すでに内定を出し始めており、内定のピークは例年より1カ月ほど早い1~2月になるとのこと。LINEも昨年12月から技術者選考を始めており、1月には内定を出すとしているほか、楽天も昨年12月から選考を始めるなど、ITベンチャーでは6月の面接選考解禁はおろか、3月の採用広報解禁を待つこともなく、堂々と選考、内定出しが行われている。この動きを見て、余裕を持って構えていられる企業がどれだけあるだろうか。

 2017年卒採用、“6月から面接選考開始”なんてのんきな計画を立てていると、ひどい目に合うことになるかも?

keieipro_logo_R

 

 

 

 

【デール・カーネギーが贈る成功の秘訣】使えるネットワーキング
CS(顧客満足)よりも、ES(従業員満足)を!
【経営者のあの一言 Vol.91】「私心なく働く人に人は付き従う。能力のあるなしも、学歴も、まったく関係ない。」TDK 元社長 素野福次郎
世界に通用するリーダーをつくるために取り組むべきこと
2030年に有望な職業とは?

 

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

不動産の現場から生産緑地の将来活用をサポートする――ホンダ商事

ホンダ商事は商業施設や宿泊施設の売買仲介、テナントリーシングを手掛けている。本田和之社長は顧客のニーズを探り最適な有効活用を提案。不動産の現場から、生産緑地の将来活用など社会問題の解決にも取り組む。── 事業の概要について。本田 当社は商業施設やホテル、旅館の売買・賃貸仲介(テナントリーシング)を…

企業eye

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年8月号
[特集]
パナソニック新世紀

  • ・総論 家電事業でもB2Bでも根底に流れる「お役立ち」
  • ・樋口泰行(コネクティッドソリューションズ社社長)
  • ・B2Bに舵を切るパナソニック
  • ・パナソニックのDNA 家電事業の次の100年
  • ・本間哲朗(アプライアンス社社長)
  • ・パナソニックの家電を支えた“街の電気屋”の昨日・今日・明日
  • ・テスラ向け電池は量産へ 成長のカギ握る自動車事業
  • ・パナソニックとオリンピック・パラリンピック

[Special Interview]

 津賀一宏(パナソニック社長)

 変化し進化し続けることでパナソニックの未来を創る

[NEWS REPORT]

◆商品開発に続き環境対策で競い合うコンビニチェーン

◆サムスンを追撃できるか? ようやく船出する東芝メモリの前途

◆スバル・吉永泰之社長はなぜ「裸の王様」になったのか

◆「ニーハオトイレ」は遠い昔 中国を席巻するトイレ革命

[政知巡礼]

 木原誠二(衆議院議員)

 「政治が気合を持って、今のやり方を変えていく覚悟を」

ページ上部へ戻る