政治・経済

 財務省が、危機感を強めている。原油価格の急落や中国経済の減速懸念を背景とした円高、世界同時株安の進展で、国内景気の先行きに“黄信号”が灯り、消費税率10%への引き上げが再び先送りされるとの観測が強まり始めたためだ。

 「リーマンショック級の危機でなければ消費税再増税は行う」。安倍晋三首相はこう言い切っている。しかし与党幹部からは「中国を震源地とした世界同時株安の中、消費税を上げられる環境にはない」との見方が急速に強まっている。

 1月20日の東京株式市場の日経平均株価の終値は1万6416円19銭まで下落し、日銀が追加金融緩和を決定した2014年10月31日以来約1年3カ月ぶりの安値となった。外国為替市場でも、安全資産とされる円が買われ、20日は約1年ぶりに一時1ドル=115円台まで円安が進んだ。

 背景にあるのが米国の利上げと中国の経済減速、急激な原油安のトリプルショックだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月に利上げに踏み切り、今年は複数回の利上げを実施するとの観測がある。中国景気も内需や輸出の鈍化で減速が続き、原油相場は需給のだぶつきで投機的な資金が逃げている。

 安倍政権は「日本の実態経済は緩やかに回復している」(甘利明経済再生担当相)との認識を変えていない。しかし財務省は下げ止まらない株価を危惧する。安倍政権は株価を最重要指標の一つとしてとらえているためだ。株安に歯止めがかからなければ財務省が悲願とする消費税率10%への引き上げが再度見送られる公算は強まる。「もう一回延期されれば、次はいつ上げられるか見通せなくなる」(財務省幹部)との危機感は日増しに強まっている。

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