政治・経済

 自民党の小泉進次郎・農林部会長が「農林中金(農林中央金庫)はいらない」とした発言が波紋を呼んでいる。その言葉の発端は1月13日。茨城県で農薬などの流通現場を視察した後の記者団のぶら下がり取材に応じた際のことだ。そこで農林中金について問われ、「(貸出金残高のうち)農業の融資に回っているのは0.1%だ。だとしたら、農林中金はいらない」と言い放ったのだ。自民党の強力な”集票マシーン”として切り込むことがタブーともされてきた農林中金への批判とも受け取れる発言。それだけに、これまで農林中金にお世話になってきた農水族議員の何人かは眉をひそめる。一方、農業現場では「よくぞ言ってくれた」と膝を打つ農家も多いようだ。

 ただ、この発言がマスコミに取り上げられると進次郎氏も焦ったのか、18日の自民党での部会後、記者団に「実はあの時の(茨城県での)取材で、私はもう1つのワンフレーズも言っている。『これは、私から農林中金に対するエールです』と言った部分は全く報じられず、全部カットでした」と説明。農林中金が”いらない”の部分だけが強調されたことに苦言を呈したのだった。

 党農林部会長に就任してから4カ月あまり。「今の農業がなんでこうなったのか、まず変わらなきゃいけないのは政治だと。だったら『農政新時代』だろう」「農業は衰退産業ではなく成長産業だが、今までの延長線上に農業の未来はない」ーー。農政改革の必要性を訴える様子は、短いやり取りの中で印象的な一言をつぶやく「ワンフレーズポリティクス」と言われた父、小泉純一郎元首相にますます似てきている。

 農林水産省のある幹部は進次郎氏の言動について、「持たれた疑問点を率直に言うことで問題提起をしている」と指摘。その上で「それだけでいけないので『農林中金へのエールです』と言ってみたりいろいろな反応を見て、自身の答えを見極めようとしているのではないか」と分析する。

 改革一辺倒ではなく、関連団体への配慮も忘れない。人気の高い自身の立ち位置を理解し、現場にも積極的に足を運ぶ。地元選挙区の神奈川新聞や農家への発進力のある日本農業新聞への単独インタビューに積極的に応じるなどマスコミ対応も戦略的だ。既に政治家としての才覚は父を超えているのかもしれない。

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