政治・経済

 高市早苗総務相が1月に「各種ポイントカードをマイナンバーカードに一本化したい」と発言したことが、マイナンバーカードに民間カードを取り込もうとしている、と波紋を広げている。

 マイナンバーカードとは、マイナンバー(個人番号)が記載された顔写真付きのICカード。2015年10月から各個人に郵送されている「個人番号カード交付申請書」を各市町村に送れば入手できる。申請は任意だが、運転免許証やパスポートのように身分証明書として利用できるため、そこそこの利用が進むと見られているが、総務相の発言は、各種ポイントカードを取り込むことで、マイナンバーカードの利便性を高め、発行枚数を増やしたいとの役人の思惑が垣間見える。

 総務省のウェブサイトでは、ポイントカード類の一本化によって個人番号カードのメリットが広がると説明している。マイナンバーカードに内蔵されるICチップの空きスペースに民間企業が発行するカードのID情報などを書き込んで、官民連携することにより新たなサービスが期待できるという。

 ポイントカードとしては「Tポイント」や「Ponta」、「楽天スーパーポイント」など有力カードの運営会社で激しい顧客争奪戦を繰り広げている。利用者からみれば、マイナンバーカード1枚に複数のポイントカードを集約できればカードを何枚も持ち歩かなくて済むし、利用面からみたメリットは大きい。しかし、大きな問題もクローズアップされている。

 他人に知られたくないマイナンバーが記されたカードを持ち歩くことになるので、カード紛失や盗難が相次ぐ可能性があり、個人情報流出のリスクも増加しかねない。セキュリティーの面だけでなく、民間企業の顧客向けサービスを政府のカードに集約する仕組みそのものが強い反発を招いている。民間で各企業がポイントを競って顧客争奪戦にしのぎを削っているのに、マインナンバーに集約されれば競争も低調となり、まるで「どこかの社会主義国家みたいになる」という批判も聞こえてくる。

 総務省内にも疑問視する意見があり、最終的にどんな形になるか現時点では未知数。ただ、マイナンバーカードの利用率を高めたいがために何でも取り込もうという発想は、セキュリティー面からも、税金逃れ対策など本来の目的という面からも、「筋悪の議論」ということになりそうだ。

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