政治・経済

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する12カ国の署名式が2月4日、ニュージーランドのオークランドで行われた。日本からは和装姿の高鳥修一内閣府副大臣が出席し、署名を終えることができた。何事もなく署名は完了したと思われるが、署名直前に実は裏ではある国が「物言い」を付けていたのだ。

 そのある国とは、カナダである。2月5日に自民党で行われたTPP総合対策実行本部会で、高鳥氏が署名式前に行われた閣僚会合での様子を明かした。

 閣僚会合ではTPP署名後の閣僚声明について議論していた。その席でカナダは「署名はするが国内の協定承認手続きをどうするかについては、この場で約束ができない」と主張し始めたのだという。

 カナダはTPPが大筋合意した昨年10月以降に総選挙が行われ、TPPを推進した保守党のハーパー政権が敗北、政権は若き党首、ジャスティン・トルドー氏が率いる自由党に移った。自由党はTPPについて「交渉が透明性を欠く」と主張するなど、国内承認に慎重な姿勢を示してきた。それが冒頭の「物言い」につながるのである。

 カナダが署名に前向きにならない以上、各国も「それでは共同声明を出せない」と意見が一致。「閣僚会合の時間の多くをカナダ説得のために割いた」(政府関係者)。結局、声明には各国の国内承認手続きを「尊重する」という意味合いの文言を入れることでカナダを納得させたという。交渉中から何かと物言いを繰り返し、「足かせ」揶揄もされてきたカナダだが、結局、最後の最後までトラブルを引き起こすのであった。

 TPPは、全参加国が署名から2年以内に承認手続きを終えられない場合、署名国の国内総生産(GDP)の85%超を占める6カ国による承認で発効される。このためカナダが承認できなくても、日米などが承認できれば発効する公算は大きい。

 しかしカナダが承認を見送れば、カナダの乳製品市場の開放は棚上げとなりかねない。そうすると、カナダへの輸出増を狙う米国やオーストラリア、ニュージーランドの乳製品業界の不満が高まることも懸念されているのだ。協定発効後も油断のならない国である。

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