[霞が関番記者レポート]
進次郎人気は衰えぬも農業団体に燻る不満――農林水産省
2016年3月11日

自民党の小泉進次郎農林部会長が各所に引っ張りだこだ。1月24日投開票の沖縄県宜野湾市長選に応援に借り出されれば、2月3日には中長期の財政の在り方を検討する「2020年以降の経済財政構想小委員会」の事務局長に就任。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が大筋合意に達し、国内農家の不安や反発に対応する農林部会長をこなすだけでも大変だが、本人はやり遂げようと必死だ。
1月18日から党農林部会はTPPの農業対策を検討する「農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム(PT)」の会合を毎週開催している。これは人材力の強化や生産資材価格の引き下げ、流通・加工業界の構造――など6つのテーマについて現場や有識者から意見を聴取し、それを踏まえて秋をめどに対策をまとめるというものだ。
多いときは週2回以上も会合を開き、長いときには2時間近く議論することもある。毎回、農業生産法人や団体、農機メーカー、流通業などの幹部を招いており、その準備も大変だ。このチームの委員長も小泉氏が務めており、それぞれのテーマの座長や幹部は小泉氏と近い若手議員を就任させた。「族議員」が支配した農林部会は、今では進次郎が仕切っている。
ただ、最近は息切れしたのかPTの会合もマンネリ化しつつある。有識者から意見を聞くだけで、質疑応答では議論が活発化しないことも。族議員の重鎮も腕組みをしているだけで、仕方なく若手が質問し、ようやく議論が始まることもある。
1月14日には、農林中央金庫について小泉氏は「農家のためにならないなら要らない」と批判し、関係業界に対して物おじしない姿勢も見せたが、「農業団体の反感も買った」(団体関係者)。ある議員は「小泉氏が掲げた農業対策のテーマ『農政新時代』は、これまでの農政を暗に批判したもの。族議員や農業団体の重鎮は正直、面白くないのではないか」と話す。将来の首相候補と目される34歳の若武者はこの苦境をどう乗り越えるのか。今後の手綱さばきに注目が集まる。
雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら
経済界電子版トップへ戻る
好評連載
深読み経済ニュース
一覧へ増刷率9割の出版プロデューサーが明かす「本が売れない時代に売れる本をつくる」秘訣
[Leaders' Profile]

[連載] 深読み経済ニュース解説
2015年の経済見通し
[連載] 深読み経済ニュース解説
再デフレ化に突入し始めた日本経済
[連載] 深読み経済ニュース解説
消費税率引き上げ見送りの評価と影響
[連載] 深読み経済ニュース解説
安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由
霞が関番記者レポート
一覧へ財務省が仮想通貨の規制に二の足を踏む本当の理由――財務省
[霞が関番記者レポート]

[霞が関番記者レポート]
加熱式たばこ増税に最後まで反対した1社――財務省
[霞が関番記者レポート]
下水道に紙おむつを流す仕組みを検討――国土交通省
[霞が関番記者レポート]
NEMの大量流出で異例のスピード対応 批判をかわす狙いも――金融庁
[霞が関番記者レポート]
バイオ技術活用提言 遺伝子の組み換えで新素材や医薬品開発――経済産業省
永田町ウォッチング
一覧へ流行語大賞に見る2017年の政界
[永田町ウォッチング]

永田町ウォッチング
支持率低下で堅実路線にシフトした安倍改造内閣の落とし穴
[永田町ウォッチング]
政治評論家、浅川博忠さんの「しなやかな反骨心」で切り開いた政治評論家への道
[永田町ウォッチング]
無党派層がカギを握る東京都議選の行方
[永田町ウォッチング]
東京都議選は“小池時代”到来の分岐点か
地域が変えるニッポン
一覧へ科学を目玉に集客合戦 恐竜博物館に70万人超(福井県勝山市、福井県立恐竜博物館)
[連載] 地域が変えるニッポン(第20回)

[連載] 地域が変えるニッポン(第19回)
コウノトリで豊かな里山 自然と共生する町づくり(福井県越前市、里地里山推進室)
[連載] 地域が変えるニッポン(第17回)
植物工場、震災地で威力 雇用創出や活性化に効果(岩手県陸前高田市、グランパ)
[連載] 地域が変えるニッポン(第16回)
道の駅を拠点に村づくり(群馬県川場村、川場田園プラザ)
[連載] 地域が変えるニッポン(第15回)
好評ぐんぐん、高糖度トマト「アメーラ」が地域に活気、雇用を創出(静岡市、サンファーマーズ)
実録! 関西の勇士たち
一覧へ水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る
[特集 新しい街は懐かしい]

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)
稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは
[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)
三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生
[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)
住友の天皇・堀田庄三の人生
[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)
商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助
ビジネストレンド新着記事
注目企業
一覧へ総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)
広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

新社長登場
一覧へ森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは
前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

イノベーターズ
一覧へ20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔
自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

大学の挑戦
一覧へ専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長
2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …
