[売れる極意]
営業の極意とは? 結果を出し続けるために必要な6つの習慣――的場正人(リクルートマネジメントソリューションズコンサルティング部シニアパフォーマンスコンサルタント)
2016年3月15日

人材開発、人事制度、組織開発、営業力強化の4つの事業領域と、アセスメント、トレーニング、コンサルティング、カウンセリング・コーチングの4つのソリューション手法で企業の人材育成を支援するリクルートマネジメントソリューションズ。2004年に人事測定研究所と、リクルートのHRDディビジョンが統合し、現在に至っている。
現代における強い営業の条件とは
リクルートでは数字で評価されるVPやMVPと、顧客に価値を提供し、どれだけ次につながるナレッジを生み出したかという成果発表大会やナレッジグランプリがある。常時この両方の獲得を目標にしてきた。

(まとば・まさひと)1971年北海道生まれ。93年北海道大学を卒業し、リクルート入社。96年からリクルートマネジメントソリューションズに在籍し、98〜2001年までMVP、VPを受賞。02年から営業マネジャーとなり、2年連続で最優秀営業課賞。仕事内容を評価する全社コンテスト「ナレッジグランプリ」で歴代最多受賞履歴を持つ。
リクルートに入社後の半年は、求人広告営業を担当。その後、子どものころから夢だったパイロットになるべく運輸省航空大学校でフライト訓練を行い、ライセンスを取得。しかし、同期のほとんどが航空会社のパイロットになる中で、リクルートに復職する。
大空を自由に飛び回る醍醐味に憧れていたが、決められたルートを安全に飛ぶ世界は自分のタイプではない。それより、失敗しながらでも、チャレンジして新たな価値を生み出すことが美徳とされていたリクルートのほうが合っていると思い至ったのだ。
こうして1996年に人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)に入社し、営業の最前線で活動、9年前から営業強化コンサルタントとして数多くの企業の組織強化、営業部門の教育に携わってきた。
昨今の営業を取り巻く環境は大きく変化し、商品・サービスだけでは優位性がほとんどない中での戦いが強いられている。
その結果、ネット販売などへの移管による価格競争力強化の方向か、営業の介在価値向上による価値提供力の強化の方向かに二極化している。
かつての強い営業は、売る力、フットワークやプレゼン力、クロージング力で勝っているイメージだったが、今や本質的な価値・メリットを提供できない限り売れない、競合に勝てない状況になっている。
営業で結果を出す6つの習慣
営業に求められる「価値を提供する力」とは、人が介在しないとできないレベルの「心をつかむ力」「課題をつかむ力」だと思う。
顧客の課題をつかむ力を高めるには、顧客の課題に対する専門性、商品・サービスに対する専門性を磨き続ける必要がある。昨年上梓した『リクルートのトップ営業が後輩に伝えていること〜一人前になるための6つの習慣』の一部を紹介する。
第1の習慣:顧客にがむしゃらにぶつかり、“やりきる”ことを通じて学ぶ習慣。
第2の習慣:成長する“ものの見方”に変える習慣。
第3の習慣:“売れ続ける”営業計画を立てる習慣。
第4の習慣:わくわくするたくらみを持って“PDCA”を回す習慣。
第5の習慣:顧客の“心”をつかむコミュニケーションの習慣。
第6の習慣:顧客視点の仮説を磨き上げる習慣。その先には、これからの時代に通用する「顧客価値提案営業」がある。
営業で壁となる6つの習慣
だが、育成構造不況の昨今、放っておくと陥りがちな6つの習慣(壁)が身に付きがちだ。
第1の壁:失敗を恐れて行動できない。
第2の壁:うまくいかない現実を環境や周囲のせいにしてしまう。
第3の壁:会いやすい顧客、短期で決まりやすい顧客にばかり行き、業績が安定しない。
第4の壁:ある程度営業ができるようになるが、現状に甘んじて考えなくなり、成長が止まる。営業にあき始める。
第5の壁:顧客の役に立ちたいという思いと裏腹に、営業本位のコミュニケーションになってしまい、2度目のアポがもらえない。
第6の壁:顧客視点の仮説ではなく、営業都合の仮説や提案を繰り返し、提案が顧客に支持されない。
営業ほど醍醐味があり人を成長させてくれる仕事はない。営業は自由度が高く、自由に創意工夫ができる。
そして、社外のキーパーソンに次々と会える。商品と同時に自分を買っていただくことが仕事になる。つまり、自分を磨かざるを得ない。
結果が早く出るため、PDCAを高速回転でまわすことができる。この積み重ねが、仕事の醍醐味であり、成長を加速させる。(談)
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