マネジメント

 ソフトブレーン・サービスは、「営業プロセスマネジメント」コンサルティングのパイオニア。宋文洲氏が創業した営業課題解決事業を行うソフトブレーンのグループ会社だ。

野部剛氏が語る「科学的組織営業」とは

 企業にとって営業力強化は最優先課題の一つ。だが、そのための道筋が描けているという企業は少ない。むしろ営業力が落ちていると感じている経営者が多いのではないか。「営業は足で稼げ。数打ちゃ当たる」といった古い手法をいまだに続ける企業も多いが、気合や精神論だけでは契約は取れない。今は科学的アプローチが必要だ。

20160322_SOFTBRAIN_P01

(のべ・たけし)1971年千葉県生まれ。早稲田大学卒業後、野村証券入社。本店に勤務し、リテール営業でトップセールスマンとして活躍。2005年ソフトブレーン・サービスに入社し、執行役員・取締役を経て10年7月から現職。

 当社は営業の体系的理論と実践的ノウハウを持ち、国内30万人以上が実践する「営業プロセスマネジメント」を通じてこれまでに4500社以上の企業の「売れる仕組み」構築を支援してきた。プロセスマネジメントは、古くから製造部門では当たり前に行われてきたマネジメント手法だ。製造部門と同様に営業部門においても、「ターゲットリスト選定→初回面談→引合→提案→見積→受注」に至るまでのプロセスがある。然るべきプロセスを設計し、それを適正に実行、推進できているかを管理し、結果をコントロールしようという考え方が「営業プロセスマネジメント」であり、科学的な組織営業法の第一歩なのである。

 「営業プロセスマネジメント」を実行・推進するために、当社では科学的組織営業への変革のためのコンサルティングや、営業人材育成の支援を行っている。具体的には、月1回程度の研修を基点として、メンバーを集めてワークショップを行い、半年〜1年間で営業成果を実現する。例えば、ワークショップの中で、トップセールスの特徴的な行動や、知恵を引き出してもらう。当社がクライアントにヒアリングすると、業種業界を超えてトップセールスには驚くほど共通項が多い。トップセールスは、自分のやっていることを説明できない感覚論タイプが多い。そこで私たちが気合や根性といった感覚論ではなく、暗黙知を具体的なアクションに落とし込めるよう形式知化・可視化するのである。可視化したスキルを誰もが営業現場で確認できるよう携帯できる「ソリューション営業5ステップ70スキル」のようなシンプルなマニュアルや小冊子、カードなどにしているケースもある。

 マニュアルづくりで大事なのは、やるべきことだけでなく、どう話すかの具体的なトークスクリプトまでを明記することだ。それに基づき、定期的にロープレトレーニングを行い、定着を促す。その際は、必ずマネジャーが同席し、適切なアドバイスをする必要がある。階層別研修だけでは、せっかく明らかになった改善ポイントも、上司・部下間で共有されず、実践されないことが多い。部長と課長、課長と主任というように、職制の上下を同時に集めたダブルラーニング方式にすること。これによって実践的な行動につながり、成果が実現する。

 科学的組織営業のため、当社は筑波大学と共同研究を行っている。他社では過去にトップセールスとして活躍していた方が講師となり研修やコンサルティングを行っているケースも多いが、その多くは個人の経験に基づいて語っている。営業をする上で参考にはなるが、受講生がそれを再現することは難しい。当社は研究を通じて、業界を超えてトップセールスが共通して行っている行動基準を明らかにし、その行動を誰もが再現できる仕組みに落とし込む支援をすることで、成果を実現している。

 トップセールスの特徴的な行動を1つ紹介すると、トップセールスは事前準備にウエートを置く。営業に求められているのは、顧客がどんな問題を抱えているのかをくみ取り、それに対応したサービスを提案すること。顧客の情報を調べるなどの事前準備が極めて重要になる。トップセールスは、事前準備で成約の8割が決まることを知っている。売れるからあのトップセールスは自信がある、と思う方がいたら大間違い。自信があるから売れるのである。そうするためには、自社の商品・サービスに自信を持たせることだ。ライバルを見渡しても、自社の製品は絶対だという信念が持てるくらいでなければ、顧客にも伝わらない。そのために、トップセールスは事前に商品について、顧客について、ライバルについて調べておくのだ。

 日本ではモノづくりの場でプロセスマネジメントが導入され、製造現場では世界で一目置かれる存在になった。営業現場でもプロセスマネジメントの考えを取り入れ、営業の型(仕組み)づくりを進めれば、営業でも世界を驚かせることができると確信している。(談)

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年12月号
[特集] 沸騰する食ビジネス!!
  • ・食ビジネスが熱い!! 未来型食品が社会課題を解決する
  • ・市場規模70兆円! 食ビジネスが過熱するわけ
  • ・完全バランス栄養食で誰もがラクして健康になれる
  • ・人工光型植物工場で世界の食と農に新しい常識を
  • ・宇宙食ビジネスで勝ちに行く 10年後に5千億円市場創出へ
  • ・“大人の給食”で栄養の基盤をつくる
  • ・人工肉で糖質制限者に無制限のおいしさを
  • ・テクノロジーで高品質なジビエ調達が可能に
  • ・昆虫食ビジネスの時代到来
[Special Interview]

 伊藤秀二(カルビー社長)

 掘り出そうカルビーの未来

[NEWS REPORT]

◆エンジニアへの高額給与で 富士通は生まれ変われるか

◆豊田章男・自工会会長が挑む東京モーターショー100万人

◆消費増税で現金主義は終焉 キャッシュレス時代が到来した

◆加速するeスポーツ市場! インテルが東京で世界大会を開催

[総力特集]

経済界創刊55周年記念 新しい日本のかたち

東京1964からの55年と東京2020以降の日本の姿

ページ上部へ戻る