マネジメント

適切な人だけ同じバスに乗せる

 再三この連載でも書いているように、年収1億円を稼ぐ人は基準が明確である。この基準とは何かについて、私はかつて『年収1億円人生計画』(経済界)の中で、次のように定義している。

 「分かりやすく言うと、行動を起こす動機ということになるだろう。たとえば欲望、たとえば好奇心である」

 稼ぐ人と稼げない人との対比では、判断基準を持ち出して、次のように断定している。

 「行動の判断基準を持たないタイプは稼げない。いったい、この人はお金で動くのか、やりがい、生きがいで動くのか、あるいは愛なのか、さっぱり判断基準が分からないという人である」

 会社の経営でも同じことだ。経営で大事な三本柱はビジョンを作ること、ミッションを果たすこと、ビジネスモデルを作ることの3つだけだ。

 この3つを基準に経営判断をしていくのだが、それを実現するのはやはり人である。人間に関しては、重要な基準として、彼が一緒に仕事をする上で「適切か」「適切でないか」という基準がある。その基準で人間を見なくてはならない。そして、適切な人をバスに乗せ、不適切な人はバスから降りてもらわなくてはならない、ということが、名著中の名著と言われる『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(日経BP社)に書いてある。

愛情豊かで同時に厳しいリアリスト

 メンターから私は、いつも「不適切な人間とは付き合うな」とお叱りを受けている。つまり、不適切な人間には、組織から降りてもらわなくてはならないということだ。

 愛情だけではビジネスは成り立たない。時には冷徹な判断も必要なのである。

 ビジョンとミッションを抱え、儲かる仕組みを考えたら、それを誰に任せるのかを判断することが、経営者にとっての大事な責任に他ならない。『ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則』では、まずは人材を徹底して選ぶところが最重要だと説いている。出発するのはその後で良い。

 しかし途中で判断を誤ったと思ったらバスから降りてもらう、つまり組織から外れてもらわないと経営計画は達成できないのだ。

 これは経営者論だが、私の著書に書いているように、年収1億円を稼ぐ人には、傾向として二重人格が多いようである。優れた経営者は、深い愛情をもって人と接するけれど、ビジネスの現場では数字でしか判断しないということを平然と行うのだ。愛情豊かでありながら、冷徹なリアリストなのである。

ダメなものはダメと断言できること

 人間がいいとか悪いとかいうのは関係ない。会社のビジョン、ミッション、ビジネスモデルを達成できる人をバスに乗せ、達成できない人をバスから降ろすのである。

 逆に稼げない人は感情だけで判断をする傾向がある。「この人は話しやすい」とか「この人はいい人」といった、全部自分の感情だけで物事を判断してしまうのだ。

 会社を潰す人はいい人が多いとよく言われることだが、いい人とは肯定的な意味ではなく、つまりは決断力がないということである。その決断力のなさの原因が、まさに人を「感情」だけで判断してしまうということになる。

 経営者は、人に嫌われようが何を言われようが、会社を守ること、社会の役に立つこと、会社のビジョンを守ることに判断基準を置いて、ダメなものはダメという勇気を持たなくてはならない。事業に不適切なら、バスから降りてもらうのも厭わない勇気が求められるということである。

 稼ぐことは社会に貢献しているということだ。「稼ぐバス」に誰を乗せるかという問題は、経営者にとって最優先の課題と言ってもよい。

[今号の流儀]

優れた経営者は一方で愛情豊かであり、一方で冷徹なリアリストである。

会うのが仕事と考えていないか

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