文化・ライフ

前回は、先代、先々代が築いた事業の上に新たなものを加える醍醐味を語っていただいた石渡美奈さん。今回は、新しい取り組みとして始めた地域貢献のことや、社長としての今後の抱負について語っていただきました。(似顔絵=佐藤有美 写真=佐藤元樹)

ホッピービバレッジ 石渡美奈社長が地域貢献に取り組むようになったきっかけとは

20160405SANSAN_P01

(いしわたり・みな)1968年、東京都生まれ。立教大学卒業後、日清製粉に入社。93年に退社後、広告代理店のアルバイトを経て、97年ホッピービバレッジに入社。広告宣伝、副社長を経て2010年、創業100周年の年に3代目社長に就任。現在、慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科在籍中。

佐藤 美奈さんは今、何か新しいプロジェクトに取り組まれていますか。

石渡 ここ数年で一番大きかったのは、「赤坂食べないと飲まナイト(食べ飲ま)」というイベントを始めたことです。東日本大震災の後、本社がある赤坂から人がいなくなって、電気も消えて、界隈の飲食店は本当に潰れてしまうんじゃないかという状態でした。あるお客さまから何とかならないかと相談を受けて、どうしたら良いかと悩んでいたら、取引先から神楽坂で開催される「食べ飲ま」のことを教えていただきました。1枚700円のチケットを5枚つづりで買って、参加している飲食店をはしごできるイベントで、とても面白かったんです。神楽坂は魅力があっても敷居が高い店が多いのですが、その日は神楽坂に人が溢れており、初めて会う人同士のコミュニケーションの場にもなっていました。同じことを赤坂でもやりたいと思って始めました。

佐藤 これまで何回くらい開催しているのですか。

石渡 年2回のペースで、昨年までに8回行いました。30店舗からスタートしたのですが、今は50店舗まで増えています。最初の頃は自分たちで無理やり開催していた感じでしたが、6回目から飲食店さんが自ら実行委員会をつくって、「食べ飲ま」を中心に赤坂2丁目界隈にコミュニティーができているんです。だからもし今、震災があったとしても、寝る場所や食べるものの提供など、横の連携ができるのではないかと思います。創業の地で地域のお役に立てたことがうれしいし、思いがけないところから、ライフワークが見つかった気がします。

佐藤 現場が自主的に動くようになると広く物事が見えるようになるので、もっと大きなイベントにできそうですね。ぜひ続けてください。

ホッピービバレッジ 石渡美奈社長の今後の抱負とは

佐藤 ところで、ゴルフは続けていますか。

石渡 カッコいい道具を買ったのですが、今は放置状態になっています(笑)。

佐藤 『経済界』ではレッスンプロの連載もありますし、レベルの高い人から教われば、楽しいと思えるようになりますよ。

石渡 お願いします。ゴルフは、自然の中を歩くから気持ちいいでしょうし、父もまだやっていますから、一緒にコースに出られたらいいなと思います。

佐藤 最後に今後の抱負をお願いします。

石渡 不確実性が高い時代になって、想定外のことだらけですが、企業は結局続けていくことが大切なんだろうなと感じています。100年先のことは誰にも分からないし、過去は変えられないので、目の前のことを積み重ねていくしかないのかなと。創業者と父が人生を懸けて築いた、111年の会社の歴史をつないでいくのが私の仕事です。今までよりさらに1分1秒を一生懸命生き抜いて、目の前の1歩1歩を大事にしたいと思います。

 そして、この会社の第3創業は、新卒社員を戦力にする方針でやってきましたが、若い人たちを育てる意義を強く感じています。有美社長が金の卵発掘プロジェクトで、ベンチャーをかわいがっているのと似た感覚かもしれません。

佐藤 人を育てる使命のようなものを感じますし、自分も成長できますからね。本日はありがとうございました。



20160405SANSAN_P02 対談を終えて

数年ぶりの再会でしたが、ますます明るくエネルギッシュに活動されている美奈さん。「赤坂食べ飲ま」には、近々ぜひ参加したいと思います。

前編はこちら

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