政治・経済

 官邸主導で進められた西室泰三・日本郵政社長の後任候補選びだったが、結果的には官邸が候補を決められず、日本郵政グループからの昇格で落ち着いた。検査入院で2月8日に入院した西室社長は3月31日に退任。総務省元事務次官の鈴木康雄・日本郵政副社長が西室氏の承認を得て候補に挙げたのは日本郵政取締役を兼務する長門正貢・ゆうちょ銀行社長だった。

 昨年11月に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社同時上場を成し遂げた西室社長だが、入院後も続投に強い意欲を示していたにもかかわらず、上場後わずか5カ月で、金融部門の運用改革のために自らスカウトしてきた長門氏にバトンタッチすることになった。

 上場直後には「2017年の株主総会まで社長を続ける」と語っていた西室氏は、不採算部門の売却や、ゆうちょ銀、かんぽ生命の株式追加放出など矢継ぎ早の経営改革を進める方針を示し、意気軒昂だった。

 鈴木副社長は2月下旬、総務相時代に総務審議官として支えた菅義偉官房長官を訪れ、民間金融機関出身で富士重工業にも在籍したことのある長門氏を西室氏の後任に推挙。民間出身にこだわっていた官房長官は「鈴木案」を受け入れた。堅実な実務派を好む鈴木副社長と目立ちたがり屋で口八丁の長門氏は、社内では「ウマが合わない」(日本郵政幹部)とみられていたが、鈴木氏にとってみれば「政府主導で右も左も分からない民間人を送り込まれるより社内昇格の方がグループ運営にはベター」ということになる。

 もっとも、鈴木氏にとってみれば、昨年5月の入社後1年足らずで運用改革で実績を挙げた2歳年上の長門氏に一定の評価をしており、手詰まりだった菅官房長官にとっては、渡りに船だったという追い風が、下馬評にも挙がっていなかった伏兵の社長就任に結びついたようだ。

しかし、日本郵政公社の生田正治総裁、日本郵政では西川善文社長、斎藤次郎社長と彼に指名された坂篤郎社長、そして西室社長と官邸が実権を握る日本郵政トップ人事の結果は、いずれも社長が不本意な辞め方を余儀なくされている。今回も後任候補に浮上した民間人はいずれも官邸主導人事のなれの果てに嫌気がさしたようだ。

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