政治・経済

TPP交渉で経産省が浮いた存在に?

 日本が7月に合流した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を巡る動きが活発になっている。

 8月22~30日にブルネイで開かれた交渉会合では、焦点である関税撤廃・削減を扱う「市場アクセス」の議論が加速。日本も最初の提案を各国と交換して2国間の関税交渉を本格化したが、自由貿易推進を掲げる経済産業省の攻め一本槍の姿勢が交渉に影を落としかねない。
 政府は、ブルネイ会合前の8月15日に関係閣僚会議を開き、関税撤廃・削減する品目の最初の提案を決定。当初は、全貿易品目のうち関税撤廃する品目数の割合「自由化率」を75%前後に設定し、コメなど農産品の重要5品目の税率は「未定」として相手国の出方を探る方針だった。
 だが、各国の提案について情報収集を進めた結果、自由化率は80%前後まで引き上げた。

 経済産業省幹部は「あまりに的を外れた提案をすれば、相手にされなくなる」と主張する。
 農産品の関税死守を目指す農林水産省は、これまで日本が結んだ経済連携協定(EPA)の8割台よりも低めの75%を支持。経産省は最初から高めの数字で相手国の市場開放を迫るよう主張したが、TPP政府対策本部はひとまず80%前後を採用した。
 ただ、市場アクセスの日本の交渉官は分野によって経産、外務、農水各省の3人が選ばれており、連携に懸念は残る。

 特に3人のうち2人が課長級に対して、工業品を担当する経産省の宗像直子審議官は明らかに格上。経産省幹部は「難しい分野だけにTPPを長く担当してきた宗像審議官が適任」と能力本位の人選とするが、他省からすると〝浮いた存在〟になりかねない。
 TPP参加12カ国は、自由化率を徐々に引き上げていくことで、高水準の協定を目指す方針だが、関税交渉では激しい駆け引きが必至。各国が「センシティビティー(重要品目)」を維持しつつ、新たな自由貿易体制を確立できるか。

 農産品5品目の関税維持を目指す日本にとって、経産省の攻めの姿勢はもろ刃の剣になる恐れもある。

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