政治・経済

 総務省は携帯電話事業者などが通信障害を起こしたときに、原因究明や再発防止策を提示する第三者機関を設ける方向で検討している。スマートフォン(高機能携帯電話)の普及で通信量が急増し、設備が複雑化しているため、障害時に原因究明や対策に時間がかかるケースが頻発。そこで、専門家が原因を解明し通信障害の再発を防ごうという考えだが、その専門家の間から否定的な意見が出ている。総務省の通信行政部門は技官を含め通信の専門家集団であり、「第三者機関を前面に立てて対策を指示させるのは責任転嫁だ」(通信機器メーカー)という主張などだ。

 第三者機関設置は、総務省の電気通信事故の防止の在り方に関する検討会が8月9日にまとめた報告書の骨子案に盛り込まれたものだが、複雑化し影響が甚大になる通信障害に対してどれだけの機能と権限を発揮できるかは不透明。第三者機関は通信が専門の大学教授らで構成し、障害を起こした通信事業者の設備保全体制を点検・改善策を指示する。必要があれば通信分野の規制も定めるというが、これでは単に総務省の機能を一部肩代わりするだけにすぎない。

 メールが送受信できなかったり、ネットが閲覧できないといった通信障害が発生した場合、通信事業者は総務省に迅速に障害の事象を報告することになっている。現在は、総務省の担当者が事業者の原因究明や再発防止策の報告書を検証している。

 通信障害の発生件数は増加傾向が続いている。KDDIが今年4月に起こした電子メールの不具合の被害は最大288万人に及ぶなど影響の深刻さも増している。スマホの普及によるデータ量の急増で通信網のパンク状態は今後も続きそう。

 第三者機関を設置しても「現場を知らなければ実効ある対策は作れないのでは」(通信事業者)という懸念もある。技術革新が激しいICT(情報通信技術)業界で、官庁主導の第三者機関が有効な障害対策をつくるのは不可能という指摘も多い。規制強化につながりかねず、通信業界にとっては招かれざる客となりそうだ。総務省は9月までに最終案を固めて、電気通信事業法改正案を来年の通常国会に提出した方針だが、軌道修正の可能性も残っている。

 
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