政治・経済

東芝問題を受け金融庁が監査法人向けに行動指針を策定

 金融庁が年内に企業の会計監査を担当する監査法人向けに行動原則であるガバナンス・コード(統治指針)を策定することになった。東芝の不正会計問題で国内最大手の新日本監査法人が長年不正を見抜けず、日本の会計監査全体の信頼が傷付きかねない事態に、監査のあり方の見直しが迫られた格好だ。

 統治指針をめぐっては、自民党の金融調査会と金融庁の有識者懇談会が3月に提言をまとめた。

 東芝問題が起きた背景には「規制や基準が監査の現場に十分に定着しておらず、外部から適切にチェックする枠組みが確立されていない」ことが要因と分析。上場企業には2015年から統治指針が導入されているが、監査法人も一般企業と同じように「順守すべき原理、原則をつくるのが望ましい」と判断した。

 これを受け、金融庁は一定規模以上の監査法人を対象とする統治指針を策定する。近く有識者会議を設置し、指針を導入済みの「英国やオランダの事例を参考にしながら、具体的な項目を詰める」(金融庁幹部)方針だ。

 指針では不正があることを想定して、現場の会計士が職業的懐疑心を発揮できるかよう経営陣がリーダーシップ発揮するスキーム、人事配置や評価の仕組み、株主に開示する監査情報の充実などについて規定するもよう。

 一方、指針とは別に、監査法人と企業とのなれ合いを防ぐため、定期的に監査法人を交代させる「ローテーション制度」の導入についても本格的な検討に入る。東芝問題では新日本監査法人が60年以上にわたり東芝の監査を続けた結果、なれ合いが生じ、不正が見抜けなかったからだ。

大企業を手掛けられる監査法人が不足

 ただ、現実に日本では東芝のような「大企業の監査ができる有力法人が少ない」(金融庁幹部)。また、ローテ制は交代から数年は監査の質が落ちることも指摘される。このため、統治指針のように直ちに導入はせずに、中長期的な検討課題にとどめた。欧州での先行事例などを現地調査しながら時間をかけて検討していく。

 監査の透明性の確保には統治指針を順守していくことが、差し当たっての課題になりそうだ。金融庁は大手や準大手の監査法人との定期的な対話の場を設けるなどして指針の実効性を担保する。また、新日本監査法人を含めた4大監査法人に対しては、現在は2年に1回立ち入り検査をしているが、毎年の検査に改めて監視を強化する。

 一方、規模が大きくない監査法人に対しても、大企業の監査を行える力を付けられるような環境整備を進めたい考えだ。

 

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