政治・経済

 来年4月に予定通り消費税を増税するかどうかの判断を、安倍晋三政権が迫られつつある。所管の麻生太郎財務相は、最近の景気指標の好転などを理由に、予定通り増税に踏み切る考えだが、閣内には異論も。増税のタイミングを誤り、デフレ脱却に失敗すれば、政権の致命傷になりかねず、ぎりぎりまで難しい判断を迫られそうだ。

 政府は、消費税増税のタイミングの本格的な検討を始めている。8月26日から31日にかけて合計7回、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)、日本商工会議所の岡村正会頭ら、さまざまな分野の有識者からなる会合を開き、消費税増税の時期に関する意見を聴いた。

「私たちが得ている情報の中で、(増税時期を)考え直さなければならないというものには接していない」。8月21日の閣議後会見で麻生太郎財務相はこう話し、消費税増税を予定のスケジュール通り行うべきだとの考えを示した。

 さらに、麻生財務相は、「間違いなく3四半期の国内総生産(GDP)は伸びている。(さまざまな景気指標は)上向いている」と指摘。増税は、「(景気が)上り坂にあるときにやるべきだ」との見方を改めて示した。具体的には、9月上旬の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の前に方向性を出すべきだとの考えだ。

 これに対し、首相周辺は、10月に発表される雇用や賃金関係を参考にしてから決めるべきだとの意見で、麻生財務相とは温度差も。菅義偉官房長官は、「首相の気持ちは白紙だ」と繰り返し、一部からは、「麻生財務相は、財務省の言いなりに動いている」との陰口が上がる。

 7月の参院選で圧勝し、自民党の「1強体制」を築いた安倍政権は、長期政権に意欲を燃やす。ただ、消費税増税のタイミングを誤り、「アベノミクス」効果でわきたつ景気好転ムードがしぼめば、有権者はそっぽを向く。麻生氏、菅氏ら実力者がどう歩み寄り、落とし所を探るかが、長期政権の試金石になりそうだ。

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