政治・経済

安倍晋三首相

安倍晋三首相

 9月に予定されるイベントのうち、最も注目されるのは、国内では消費税増税の最終決定であり、海外では米FOMC(連邦公開市場委員会)におけるQE3(第3次量的緩和)縮小開始の可否。とはいえ、このほかにも〝伏兵〟要因は少なくない。

 例えば、7日のIOC(国際オリンピック委員会)総会における2020年五輪開催都市決定。東京五輪実現の当否次第で、相場のムードはガラリ一変となり得る。また、日経平均定期入替についても、任天堂など旧・大証主市場の超値がさ株が新規採用された場合、買い付け資金確保のため、既存の採用銘柄に対する薄く広い売りが続き、閑散相場の下ではネガティブなインパクトを及ぼす可能性もある。G20サミットや国連総会など、外交の舞台でも安倍晋三首相の動向が問われる場面がありそうだ。

 過去を振り返っても、突出して成績が悪い月が9月(戦後の日経平均月足陽陰線で27勝37敗、直近20年間で5勝15敗)。この9月に相場波乱の可能性を唱えているのが、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストだ。「ポイントは消費税。増税見送り決定を受けて、日本の信認低下から『日本売り』めいた展開になると想定しているが、仮に、増税実施を決めても、今度は景気下押し圧力が嫌気されて、やっぱり売られるのではないか」としている。もっとも、いずれのケースでも波乱は一時的で、日経平均1万3千円割れ程度にとどまるというのが基本シナリオ。「増税見送りの日本売りで円安が進めば、いずれ収益期待につながる。逆に、増税実施で景気への懸念が深まれば、『増税でもデフレ脱却』を唱えた日銀・黒田東彦総裁の出番。催促相場を経て異次元緩和第2弾へとつながる可能性がある」(広木氏)。 もうひと方、相場分析アナリスト部門で10年連続トップを走る、大和証券の木野内栄治投資戦略部部長の相場観は、少々異なる。足元の閑散の背景についても、「8月20日まで安倍首相が夏休みを取っていたことが影響している。司令塔不在で折衝できなかった霞が関のキャリア官僚たちも21日から本格的に動き出し、成長戦略などの政策対応も急ピッチで進んでいく」というもの。となれば、こうした動きが漏れ伝わり、政策期待から商いも次第に増勢へと向かうはず。

 一方で、9月の各種〝イベント〟については、懸念要因とされる「QE3縮小開始」に対し、「むしろ米国景気加速につながる」(木野内氏)と、前向きな見方を示している。「QE1が終了した翌月(10年3月)にニューヨークダウは高値を付けた。QE2終了の翌月(11年6月)にも、実質的に高値形成した経緯がある。QE3の際も、終了前に向けて住宅ローン契約の駆け込み需要が高まる」との見立てだ。

 9月相場について、両者の見方は一見、相反するものとなったが、日本株の中期的な見通しについては、強気で一致する。当面は、商いの回復を待って慎重な対応を、そして、一段の下値があれば、買い下がりのスタンスで対応したい。

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