政治・経済

AIの研究開発で後れを取る日本

 

 米グーグルの囲碁ソフト「AlphaGo」がプロ棋士に圧勝したり、米IBMの「ワトソン」が金融機関などでアドバイザーに活用されたりと、人工知能(AI)の実用性が高まり、政府も国家の威信をかけて本格的なAI研究に乗り出そうとしている。

 しかし、霞が関では、経済産業省、総務省、文部科学省などがそれぞれAI関連予算を計上し、バラバラで研究開発に取り組んでいるのが現状だ。

 霞が関の縦割り意識の強さは今に始まったことではないが、欧米に比べて劣勢が目立つわが国のAI実用化研究の現状に危機感を募らせた政府は経産、総務、文科の3省庁のAI研究に横串を通し、共同で研究開発に取り組む連携組織を立ち上げることにした。

 各省が所管する研究機関が企業と協力して基礎から応用研究、事業化まで一貫して取り組むほか、米シリコンバレーに共同で研究拠点を設置し、海外の研究者も受け入れる。欧米に比べ出遅れているAI研究分野で産学官連携による巻き返しを目指す。

 安倍晋三首相は4月12日の官民対話で「人工知能の研究開発目標と産業かのロードマップを本年度中に策定する。産学官の英知を集め、縦割りを排した『人工知能技術戦略会議』を創設する」と発言。省庁側の受け皿が近く設置される「事業合同推進委員会」だ。

 

AI共同研究の成果を出すには資金と人材の集中投下が不可欠

 

 また、産業技術総合研究所(所管は経産省)、情報通信研究機構(同総務省)、理化学研究所(同文科省)の3機関によるセンター長会議で研究内容を調整する。

 関連予算は3省で年間約100億円(2016年度)に上っており、重複事業を省いて費用対効果の高い事業を推進する。

 産総研は昨年5月に人工知能研究センターを設立して企業と共同研究に取り組んでいるが、その成果や関連データの共有によって共同研究を加速させる。

 また、AI研究者やビッグデータの専門家であるデータサイエンティストなど人材育成に重点を置き、海外の優秀な研究者やエンジニアを日本に招く枠組みも作る。

 AI研究開発にはグーグルや米アップルなどのIT大手が巨額の事業費を投入し、各国政府も支援している。

 霞が関では「早くから取り組んできたが目立った成果がなかったのは確か。これから欧米を追いかけるには資金と人材を集中させなければ不可能だ」(総務省幹部)と指摘している。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る