政治・経済

 総務省の電波監理審議会が7月26日、広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)向けの周波数2・5GHz帯の新たな割当先企業に、KDDI系のUQコミュニケーションズを選定すべきと答申した。しかし、ソフトバンクの孫正義社長は、同社傘下のワイヤレスシティプランニング(WCP)の敗色が濃厚になっていた電波監理審議会開催の前日、総務省幹部を訪ね、「選定過程が不明瞭で、行政訴訟の可能性もある」と抗議。審議会でUQの選定が正式に発表されると、WCPが「審査結果が客観性、公平性に欠ける」などとして、総務省に不服を申し立てるとともに情報公開を請求した。

 WCPの社長を務めるソフトバンクの孫正義社長は、答申の審査結果に対して、「客観性、公平性の観点で適切に評価されていない」ことや「審議のプロセスも重大な疑義があり、審議会の形骸化を懸念している」ことを理由に、認定の延期、再審議、公開ヒアリングなどの実施を総務省に申し入れた。しかし、予想された今回の孫社長の行動に対して、総務省や業界関係者は冷ややかだ。総務省関係者は「総務省の天下りがKDDIやUQにいるのが原因だなんて言っているが、天下りの有無で判断が左右されることは一切ないことはこれまでの政策判断でも明白。前回の900MHzでソフトバンクが選ばれたときの審議過程も不透明だからやり直せというのか」と憤懣やるかたない様子だ。大手通信事業者も「孫さんはなんでも欲しがるが、身勝手過ぎる」と一刀両断。周波数が取れたときは黙って、取れないときは行政訴訟だと吠える孫社長の姿勢にうんざりの様子だ。

 30日の4~6月期決算会見で、孫社長は行政訴訟の準備を進めていることを認めながらも、「最終決断は行っていない」といつもとは違う慎重な姿勢を示した。理由はこうだ。「行政訴訟をするのは大変。以前に行政訴訟を行ったが、その後、総務省には出入り禁止になった。アポも取れなくなるし、いじわるされかねない」。

 周囲の余りのバッシングに孫社長らしからぬ優柔不断さをみせた格好だが、孫氏は「今後付与される1・7GHz帯の許認可でも、同じように不当と思われるプロセスがあると困る」と述べ、総務省を牽制することは忘れていない。

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