国際

世界110カ国に広がるインド人のネットワーク

 過去10年間で外国に居住するインド人の数は、徐々に増えている。非居住インド人(NRI)やインド出身者(PIO)は、世界の中でも非常に大きな経済上、社会上、文化上の影響力を形成している。2500万人のインド人が110カ国に分散していると見られている。

 インド人の海外移住には4つの波があった。第1は植民地支配以前の時代で、旅行者、教師や業者などとして移住した。第2は、大英帝国の年季奉公の召使いとしての強制的な移住だった。第3は、分裂の恐れによる悲劇的な何百万人もの移動だった。そして現在は、技術を身に着けたインド人がグローバル化した世界で新しい仕事や機会を求める現代的な移住だ。

 インド人の移住は地理的に拡散し、110カ国にまで広がっている。この多様性の度合いから、あえて一部の国々を「古い移住先」、その他の国々を「新しい移住先」とする。古いインド人の移住先で目立った国々は、マレーシア、モーリシャス、トリニダード・トバゴ、フィジー、ガイアナ、スリナムがある。これとは別に、新しい移住先で目立った国々はすべて先進国だが、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどがある。これ以外では、それなりの数のインド人が湾岸諸国にも住んでいる。

 米国のインド系米国人の地域社会は100万人を超え、現在も増加中だが、当初は少数で、過去30年間に移住が拡大した。1790年に初めて海軍の労働者としての米国への移住が、インドと米国間の初期の通商関係の一部として進められた。その後、インド人の一団は、カナダからワシントン州に入り、米国の西海岸にやってきた。21世紀初頭の移住は、ほとんどが農業従事者だった。1920年代前半には、わずか5千人程のインド人だけが米国に居住していた。70年までにこの人口は伸び、約37万人に膨れ上がった。現在、米国には170万人以上のインド系の人々がいる。このことは、民族も宗教も言語の混在したインド人の社会を反映している。米国に住むインド人は、学術者、起業家、医者、弁護士、技術者、金融専門家など多岐にわたり、いずれも高収入を得ている。現在、インドと米国の関係は安定的な発展を遂げている。米国とインドにはお互いの懸念事項が横たわるが、両国の見解はより1つに近づきつつある。

英国の第2次大戦後の労働力不足で大量移住

 英国のインド人の存在は、潜在的にインドでの英国支配における相互関係の結果といえる。第2次世界大戦後の深刻な労働不足がインドからの大量移住という結果をもたらした。健康管理などの部門では、インド人の存在が重要になった。現在、英国にはおよそ120万人のインド人がおり、英国でのインド人の地域社会は、あらゆる職業の人々がいる。英国議会や主要政党などでは、医者や銀行職および大規模な学生団体などが大多数を占める。インド人は、英国の移住者の民族的地域社会と良い関係を保っており、一般的に劣性であるとは見られていない。

 インド人の海外移住は多くの国々に広がっているが、インドが後進国から新興国に変わろうとしている段階のため、多くの人々がインドに帰って祖国に貢献したいと考えている。だがインドは現在居住する国に比べ未熟な部分が多く、このUターンはとてもペースが遅い。そのためもあって、『フォーブス』のランクで上位にいる米国のシリコンバレーのインド人起業家や英国のインド系鉄鋼業の起業家は、インドにも企業を設立し、多くの人々に雇用を供給している。

 8世紀にインド人は日本に来た。しかし日本でのインド人の定住は1世紀以上前にさかのぼる。1873年前半に、数人の主にバルシー教徒とシンド族のインド人実業家と彼らの家族が横浜に定住した。1890年代には、タタ社が神戸に支店を設立した。1901年までに英国領インドからの30人が日本に住んでいた。2011年3月の東日本大震災後にはその数は減ったが、2万2千人以上のインド人が日本にいる。彼らの多くはITの専門家と取引業者に限られている。インド人の学生団体は、日本ではあまり大きくない。恐らく言語上の壁のためだろう。インドと日本は歴史的にも良い関係にあり、インドの文化は日本ではうまく取り入れられているとはいえ、日本ではほとんどインド人が居住していない。日本では、他の国々からの居住者と比べても、インド人は最も少ない部類に属しているのは残念だ。

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