政治・経済

 国税庁が7月に発表した今年1月1日現在の路線価は、全国平均で前年比1・8%の下落となった。下落幅は4年連続で縮まり、大都市圏を中心に地価の底入れ感を示した。ただ都心部ではタワーマンションなどを外国人が積極的に買う姿が目立っており、国内需要による市況の本格回復は道半ばと言えそうだ。

 買い手の主力は台湾、香港、シンガポール、中国などアジアの富裕層。欧米に比べて割安感のあった東京で、昨年12月の政権交代前後から加速した円安を追い風に、投資用に購入して賃貸に出すケースが多いという。「都心部のタワーマンション購入者のうち、15%程度を台湾、香港、中国、シンガポールなど中華圏の富裕層が購入している」(不動産会社幹部)との見方もある。

 JR池袋駅近くに3月に完成したタワーマンションは発売から間もなく完売した。「相当数を中華圏の個人が購入し、賃貸に出している」と近くの不動産会社では話す。周囲は中華街構想も持ち上がった地域で、多くの中国人が集まることから馴染みがあったものと思われる。

 東京の不動産市況には割安感があるとの見方が海外では一般的。1990年代のバブル崩壊後、アジアでは中国の経済成長の陰に隠れ、リーマンショックの痛手は浅かったとはいえ世界的に取引は低迷。一昨年の東日本大震災で原子力発電所の事故に対する脅威が台頭し、取引が放置されてきた「忘れられていた市場」となっていた。

 再び取引が出てきたのは、円安が進んだ昨年の政権交代前後。「低層階の高級マンションもよく売れている」と大手不動産会社の担当者は話す。海外での商談会も活況で、外資系不動産会社がシンガポールで行った際には多くの個人富裕層が訪れた。担当者は「東京はニューヨークやロンドンに比べ割安で質の高い物件が多く、投資余地のある市場として注目されている」と話す。

 不動産関係者は「国内投資家が購入してくれるのが一番。だが、海外から市場が注目されるのは悪いことではない」としている。国土交通省も同じ意向を持っており、今後もこうした動きは続きそうだ。

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